基本情報
女の坂 ★★★
1960 スコープサイズ 107分 @ぶんぱく
企画:近代映画協会 原作:沢野久雄 脚本:新藤兼人 撮影:宮島義勇 照明:蒲原正次郎 美術:大角純一 音楽:黛敏郎 監督:吉村公三郎
感想
■京都の老舗の和菓子屋鍵村を若い未婚の娘アキエ(岡田茉莉子)が承継する。洋装店にするつもりだったが、和菓子「京しぐれ」の魅力に魅せられて、和菓子屋の再建に取り組むが、母(乙羽信子)が連れてきた絵描き(佐田啓二)に惚れると、母と微妙な三角関係に。。。
■ざっとそんな話だけど、岡田茉莉子が和菓子屋を颯爽と再建してゆく様子が秀逸で最大の見所。佐田啓二とのメロドラマに移行するとありきたりな展開になってしまうのは残念だ。前半の溌剌とした岡田茉莉子で突っ走れば、傑作になったのに。
■かなりの大作だったらしく、京都ロケもそうだけど、美術装置が大充実していて、やけに質感が高くて、大映京都レベル。松竹だってやればできるのだ。フィルム上映で観ると、カラー撮影の映像のリッチさが引き立って、贅沢の極みだ。和菓子屋鍵村の造作とか薄暗さとか、木質の重厚な年季の入り方とか、見事に贅沢。奥に深い空間をゆっくりと移動撮影すれば、それだけでスペクタクル。岡田茉莉子の顔の肌色の自然な発色の透明感と綺麗さも見事。このあたりは大映でも、妙に顔だけ粉っぽく白くなっていることがあり、それに比べると実に見事。化粧の粉っぽさは皆無だ。
■鍵村の豪壮な屋敷の造作を紹介するのに、わざわざ電球もない夜の設定にして(ありえない!)、岡田茉莉子は水色のネグリジェで、行灯で案内する老婆(失礼!)が滝花久子という、完全に怪奇映画を狙った演出が謎にゴージャスで上出来だけど、要はゴシックロマンを狙ったということか?なんで?新藤兼人と吉村公三郎なのに。そういえば、若くてきれいな頃に、岡田茉莉子には怪奇映画に出てほしかったなあ。絶対似合うのに!
■高千穂ひづると河内桃子とで三人娘という構成が妙味で、そのおかげで前半が生き生きしているけど、河内桃子も『ゴジラ』の頃からすれば、随分演技的に成長したのだ。そして、高千穂ひづるって、『ゼロの焦点』の演技は特異点だったことがよくわかる。つまり、野村芳太郎て、演技指導に何か特色があるらしいのだ。
■お話としては、叔父の和菓子屋と戦争状態になるのに、その件は回収されずに終わるし、佐田啓二との乙羽信子も絡んだえげつない不倫関係も中途半端で終わるし、完成度は高くないので忘れられた作品なんだろうけど、映像的には実にゴージャスなので、ぼんやり観ているだけで楽しいし、岡田茉莉子がすっごかったことはよく分かる。
参考
岡田茉莉子と言えば『秋津温泉』だけど、記事がない。
maricozy.hatenablog.jp
maricozy.hatenablog.jp
maricozy.hatenablog.jp
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