■本書はそのなかでももっとも平易な書きぶりではないでしょうか。小学生高学年くらいでも一気に読み通すことができるでしょう。そしてシニアの霞みがちな眼にも優しい。。。 印象に残ったくだりを備忘的に紹介しましょう。
「どんなに優秀であっても、個性がない集団はもろい。p.28」
■会社組織などにもいえることですね。ある程度長期的な視点で考えると、そうなりますよね。等質性が高い集団は、環境変化によって全滅しがちです。そして、環境は常に変化し続けます。
「自然界には、正解がありません。ですから、生物はたくさんの解答を作り続けます。それが、多様性を生み続けるということです。p.63」
■自然の原理、宇宙の(?)原理ですね。一点集中投資は危険です。あっというまに全財産を消耗してゲームアウトすることになります。幅広く分散させて投資しておけば、儲けは少なくとも損も少なく、破産はしにくくなります。生き残ることができます。生き残ることが生き物にとっては絶対善です。
■ただ、生き残るということは、一個体が長く生きるということではなくて、種として生き残ることなので、世代交代を含みます。そこが大切なところ。
「負け続けるということは、変わり続けることでもあります。生物の進化を見ても、そうです。劇的な変化は、常に敗者によってもたらされてきました。p.140」
■生命の歴史は、敗者が進化してきた歴史だった。弱い生き物が海にいられなくなって川に遡上し、川も追い出されて大変な苦労をして陸に上がった。個の視点では敗者にはなりたくないと思いますが、そこには意味があるということですね。勝ち組、負け組なんて、単純に区別や優劣をつけがちですが、実のところそこに意味はないわけです。
■それについては、人間の認知能力のクセ(認知バイアス)についても触れていて、人間は自然界を区別しないと認知できないので、なんでも線を引き、優劣をつけたがるけど、それは人間の脳が処理しきれないからであって、自然界そのものには序列も優劣もないわけです。(p.50)でも、そうしないと人間の脳は安心できない。そういう特質を持っている。
■つまり、よりによってこんな辺鄙なブログを読んでいる奇特なあなたや、読まれるあてもないのにコツコツ書いているわたしこそ、じつは人類進化の最前線に立っているのではないか?ということ。良かったね!(ホンマか?)
