直木賞作家サスペンス『影の殺意』

■1989年に放映された関西テレビ製作による直木賞作家サスペンスの一編。原作は結城昌治の同名小説で、脚本は斉藤博、監督は中原俊という異色作。当時、斉藤博と中原俊にっかつロマンポルノの末期に新風を巻き起こした若手でした。でも本作は東映製作ですね。

田中美佐子布施博高橋ひとみが三角関係でぐずぐずしているところがいかにもロマンポルノタッチで、かなりネチネチと描く。台詞の切れ味のよさは斉藤博の持ち味だろう。ところが高橋ひとみが盲腸を拗らせて死亡するという展開に無理があり、救急車を呼べない理由が何かいるよね、普通。さらにその背後には、娘の三角関係に自分の過去の嫉妬を重ねて心配する母親(岩崎加根子)、さらに一物ありそうな父親(加藤武)という胡乱な存在が絡んで、実は未必の故意による犯罪だったのかも?という微妙な影を投げかける。サスペンスといっても犯罪ドラマではなく、心理サスペンスに属するだろう。

■どの程度原作通りなのか興味深いところだが、非常に濃厚で見ごたえのある1時間ドラマで堪能した。高橋ひとみが非常に良く、割り切った都会の女として三角関係を楽しむようでいて、激しい嫉妬を秘めながら、自分でも認めたくないという複雑で狂気にも近い心情をリアルに演じている。脚本の良さと演出の頼もしさがよくわかる佳作。



参考

原作小説はすでに入手困難な模様。図書館で借りて読むのが確実なようです。

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