- 出版社/メーカー: 20世紀フォックス・ホーム・エンターテイメント・ジャパン
- 発売日: 2015/07/17
- メディア: DVD
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感想
■監督は赤狩りとか転向とかで毀誉褒貶あるエドワード・ドミトリクで、シネマスコープで撮影された20世紀フォックスのそれなりの大作だが、いわゆる戦記映画ではなく、戦場に駆り出された3人の若者たちの愛と生を描くことに眼目がある。
■マーロン・ブランド演じるドイツの青年はナチス党には心理的に距離感を感じながら戦場に出るものの、敵兵を殺すことに躊躇する。モンゴメリー・クリフト演じるユダヤ人の青年は新婚早々徴兵され、兵舎では差別を受ける。ディーン・マーティン演じる歌手は兵役を逃げ切れず、たまたま知り合ったモンゴメリー・クリフトと戦友になる。
■そして、彼らのドラマの主眼は、それぞれの相方となる女優とのロマンス描写であって、戦争映画らしい戦闘場面は実は非常に少ないうえに、記録映画の映像を無造作に繋いでいて、ホントに超大作かと疑いたくなる。明らかに60年代の大作戦記映画などとは狙いが異なっていて、ほとんど戦争メロドラマである。
■その中でも、マーロン・ブランドのエピソードは力が入っていて、ドイツ兵を豚呼ばわりする気の強いフランス娘との交わりや、上官の無駄にセクシーな妻(メイ・ブリットの金髪!)との情事などが、かなりこってりと描かれる。エドワード・ドミトリクって、案外メロドラマ作家なのだ。
■そして肝心なのは彼ら3人が最終的にどうなるのかという点だが、なんと強制収容所の解放という段で3つのエピソードが交わることになる。しかし、それが上手くないから、マーロン・ブランドの死もなんだか気の毒なくらい軽い扱い。この辺りは原作通りなのかどうかも不明だが、何かあったのではなかろうか。3時間近い大作の終わり方にしては腰が無い。これが上手くいけば、『二百三高地』みたいな重層的なドラマになったろうに。結局、笠原和夫の『二百三高地』とか『大日本帝国』は庶民から天皇まで、大勢の登場人物を、当時の社会全体をよくもあれだけ描きこめたものだと、改めて感慨を深めた次第。
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