去年の夏 突然に ★★★

Suddenly, Last Summer
1959 ヴィスタサイズ 114分
DVD

テネシー・ウィリアムズの舞台劇の映画化ですがね、これ完全に狂ってますよ。自分自身の体験をベースに妄想したお話らしいが、普遍性は皆無で、非常にプライベートな妄想劇。しかし、これがなかなか立派な怪奇映画になっているところが恐ろしい。まるでロバート・ブロックのようなグロテスクな愛憎劇。

■いくらなんでもやりすぎで、しかもスペインで起こった残酷な惨劇といっても、まったくリアルではなく、一種の象徴として描かれ、しかも個人的な妄想にしか見えないので、一体何を言いたいのか理解しがたい。ドラマ的なサスペンスとかエグみとかはふんだんに仕込んであるので、下世話な興味はひくものの、普通の人生をおくる観客になんの関係が?というテーマ設定で、なんで名作なのか理解に苦しむ。これが名作なら、ロバート・ブロックの諸作は世界遺産では?

■でも、美術装置を含めて怪奇映画として観ると、かなりの代物で、ゴシック・ホラーとして上出来にも見える。というか、ビジュアル的には完全にラヴクラフトクトゥルフ神話のいち挿話に見える。もちろん、そのつもりはないと思うけど、ラブクラフト的な恐怖を描いた傑作かもしれない。そんなはずはないけれど。

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