アンダーカヴァー ★★★☆

WE OWN THE NIGHT
2007 ヴィスタサイズ 117分
DVD

■裏社会で生きる弟(ホアキン・フェニックス)と市警の警官として生きる兄(マーク・ウォルバーグ)が、反発しながらも、ロシア・マフィア摘発のために手を組むという、活劇映画としては比較的ありふれたプロットながら、脚本、監督がジェームズ・グレイなので、一味違う手さばきを見せる。今回は比較的受け狙いの素材で、ヒットを狙って、分かりやすいお話にしている、と見た。

■前作の「裏切り者」に比べても話術も撮影も明快で、綾の部分が少ないのだが、抑制した演出の中に、各エピソード、見せ場がメリハリを効かせて配置されている。兄が襲撃されるエピソード、弟が警察の手先に志願してロシア・マフィアのアジトに潜入する場面、弟と父親(ロバート・デュバル)が襲撃される場面、それぞれが優れて際立った見せ場になっている。特に、激しい雨の中でのカーチェイスという見たことのない状況で、雨で視界が利かない状態での追跡劇を秀逸なサスペンス演出で見せたところは、特筆に価する。ジェームズ・グレイがここでは珍しくVFXを多用しているのだが、不気味な音楽とともに、アクションのカタルシスではなく、走る閉鎖状態を一種の恐怖シーンとして演出しているところに感じ入った。

■終盤の葦が生い茂る中での追跡場面も、ジェームズ・グレイの映画では珍しく明るいロケ撮影で、光線はあふれているのに、視界が利かないという状況を巧みに演出している。上記のカーチェイスと同様に、ためにする見せ場にはなっていないからさすが。

■兄を襲撃され、次は署長である父親を狙うと自信満々に語るロシア・マフィアにホアキンが恐怖を感じる場面なども、特に変な技巧を凝らしているわけではないのに、ジェームズ・グレイの心理描写は非常に秀逸だ。


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