ゾンビランド ★★★★

ZOMBIELAND
2009 スコープサイズ 87分
DVD

■正直言ってゾンビ映画は汚いから好きではない。とはいえ、それなりに古典的作品は観ているし、特に「死霊のはらわた」は好き嫌いを超えた人生の一部になっていたりするので厄介なのだが、傑作と名高い本作は、予想以上に傑作だった。ゾンビ映画としてはどうなのかよく知らないが、立派な青春映画として成功している。我が国のゼロ年代世代におけるバトルロワイヤル的世界観にも呼応しながら、実に見事な批評性を獲得している。

■監督のルーベン・フライシャーはこの一作でホラー映画史に名を残すだろう。ちょうど「クリープス」でフレッド・デッカーが成し遂げた偉業に近いものを感じずにはいられない。フレッド・デッカーはその後微妙なフィルモグラフィーを形成しながら忘れ去られていったのだが、ルーベン・フライシャーはその轍を踏まないようにがんばっていただきたい。

■「ソーシャル・ネットワーク」ではあまり好きになれない役柄だったジェシー・アイゼンバーグだが、本作では愛すべき臆病者を爽やかに演じる。主人公のモノローグで展開する脚本も実に秀逸で、少し岡本喜八の映画を思い出したりする。実際、終盤では岡本喜八的な乾いたコメディセンスと清冽な抒情を味わうことになるのだ。これは最高の褒め言葉ですよ!

■撮影のマイケル・ボンヴィレインは、あの「クローバー・フィールド」を撮った御仁。ここでもシャープなキャメラワークでアクション映画の爽快感と青春映画の抒情をきちんと両立している。なかなか侮れない撮影監督だぞ。

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