ゼロ・ファイター 大空戦 ★★★☆

ゼロ・ファイター 大空戦
1966 スコープサイズ 92分
DVD
脚本■関沢新一、斯波一絵
撮影■山田一夫 照明■大野晨一
美術■北猛夫 音楽■佐藤勝
特技監督円谷英二
監督■森谷司郎

森谷司郎の監督デビュー作なのだが、編集が黒岩義民ということもあり、露骨に岡本喜八テイストの戦争アクション映画。本当なら岡本喜八にいつもの快テンポで痛快な特撮戦争映画を撮ってほしいのだが、特撮モノは嫌がるから信頼できる新人監督にあてがってみようという企画意図がみえみえの本作、それでも脚本、演出ともに高水準で、東宝戦記映画のなかでも完成度はかなり高い部類に入る。山田一夫のモノクロ撮影も絶妙だし、佐藤勝の音楽と黒岩義民の編集がピタリと嵌った気持ちよさは、なかなかまねのできるものではない。

■ほんとに短い映画ながら名シーンが多いのだが、後半、加山雄三の正体を知る中丸忠雄の登場から、無理を承知の出撃のあたりは燃えるし泣かせる見せ場。そこに報国岡山丸で馳せ参ずる佐藤允のあたりのたたみかけは作劇の醍醐味で、大いに盛り上がる。実質の主役は佐藤允であるあたりも企画意図が明確だな。

■脚本は関沢新一、斯波一絵のコンビは『ゴジラの息子』も絶好調だったわけだが、斯波一絵という人は素性の不明な脚本家で、多分専業の脚本家ではないのだろうと踏んでいるのだが、はてどうだろう。

円谷英二の特撮場面は割りと出来不出来の差が大きい気がするが、比較的低予算作品だからやむをえないか。

© 1998-2024 まり☆こうじ