デメキング ★★★

デメキング
2009 ヴィスタサイズ 99分
DVD
原作■いましろたかし 脚本■いましろたかし 脚本協力■寺内康太郎
撮影■大沢佳子 照明■小川大介
美術■嵩村裕司 音楽■藤野智香 VFXスーパーバイザー■鹿角剛司
監督■寺内康太郎

■昭和45年、中学生にもなって小学生たちと探検団ごっこに夢中な少年と、いつか何かでっかいことをやってやると嘯く謎の高校生蜂屋が出会う。蜂屋は”デメキングと闘うんや”と呟く。デメキングとは何か?蜂屋の残したメッセージを手繰って探検団の探索が始まった・・・

■瀬戸内海に面した漁村という設定なのに千葉で撮ってしまった超低予算映画。きたるべき宇宙怪獣デメキングとの遭遇に備えて、永遠とも思える待機の人生を送る蜂屋という存在を吉本芸人なだぎ武が、妙な説得力で体現してみせる、なかなかの力作。中盤は「スタンド・バイ・ミー」のような小冒険を描き、企画としては昭和ノスタルジー路線に便乗したものだが、物語の骨格が秀逸なので、演出や技術的な粗さもそれほど気にならない。

■閉塞的な地方都市や東京の片隅で、小さく平凡な充足を手に入れようと思えば、決して不可能ではない境遇の中で、平成30年に襲来する宇宙怪獣というビジョンに取り付かれて孤独な待機の時間を過ごす蜂屋というキャラクターのストイックさには60年代ヒーローたる石原裕次郎高倉健に通じるものがあり、表面的なスタイル的には仮面ライダーの影響が感じられる。昭和45年には、まだ放送されていないのだが・・・唐突なラストはさすがにもう少し先の顛末まで見せてくれよという気になるが、永遠の待機の人生を生きる蜂屋の姿には、「ある殺し屋」などの市川雷蔵を思わせるかっこよさがある。

■で、肝心のデメキングもちゃんと出てきますから、怪獣映画好きは見逃してはならない。しかも、VFXの出来が意外に素晴らしく、デメキングの登場場面は王道の怪獣映画になっている。ゴーガとナメゴンを掛け合わして、二足歩行にしたようなデメキングの造形も秀逸で、フィギュアが欲しくなる。コンビナート襲撃の破壊シーンもミニチュア特撮テイストの見栄えのする演出が施されており、石油タンク(ガスタンク?)誘爆の豪快なシーンなど近年稀な名シーンといえる。

■制作はトルネードフィルム。

参考

寺内康太郎という監督の筋の良さは、『口裂け女2』でもよくわかる。観て、驚くがいい!
maricozy.hatenablog.jp
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