GODZILLA FINAL WARS ★★★☆

【東宝特撮Blu-rayセレクション】 ゴジラ ファイナル ウォーズ
■随分久しぶりにDVDで見直してみると、かなり面白い。既に6年前の映画なのだ。

■特にゴジラが南極で目覚めるあたりまでの怪獣バトルのつるべ撃ちは、豪快な破壊シーンもふんだんで、今見るといっそう愉快だ。近年、こうした破壊シーンをミニチュアで表現する機会はほとんど絶滅してしまった。ベテラン浅田英一のミニチュア特撮の腕は、巻頭のゴジラ海底軍艦の場面から冴え渡る。爆発につぐ爆発は、師匠の中野昭慶譲りだ。

■本編キャメラを担当した古谷巧の映像設計も大成功で、怪獣映画で銀残し(Skip BleachBleach Bypass、ENR等々)処理という前代未聞の挑戦のはずだが、彩度が落ちて、粒状性も少し荒れた感じが、今見るとフィルムの味わいで、非常にいい感じなのだ。特撮シーンも同様のルックになっているおかげで、ミニチュアの粗さもカバーされている。また、シーンによって画面全体のキーカラーを変えるというストラーロ方式(?)で、表現の明快さが増している。このあたりの映像設計もいい効果を上げている。最近作が「大怪獣バトル ウルトラ銀河伝説 THE MOVIE」というのが、時代の変化を物語っているなあ。

■特に出色なのは、エビラ攻略戦の場面で、これは東宝特撮というよりも邦画のアクション映画における80年代風筋肉アクションの狂い咲きとも呼ぶべき奇妙な名シーンだ。このシーンをエンドレス再生してビールを飲むと欝な気分が吹き飛ぶからお試しあれ。本作のケイン・コスギはまさに水を得た魚で、溌剌としている。

■人間としては個人的な付き合いは遠慮したい北村龍平だが、この映画は確かに愉しいよ。

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