DIVE!! ★★★

ダイブ!! 特別版 [DVD]
DIVE!!
2008 ヴィスタサイズ 115分
DVD
原作、脚本協力■森絵都 脚本■戸田山雅司、林民夫
撮影■佐光朗 照明■加瀬弘行
美術■柴田博英 音楽■常田真太郎 画像処理スーパーバイザー■金子俊夫
監督■熊澤尚人

■監督は熊澤尚人だが、キャメラが佐光朗なので、いつもの手持ちキャメラの浮遊感ではなく、クレーンやドリーを使ったかっちりしたキャメラワークが基調となている。しかも、高飛び込みを立体的に捉えるためにスパイダーカムという特殊撮影機器を導入し、日本映画ではお目にかかったことのないキャメラワークを実現している。いささか、使いすぎという気もするが、とにかく題材が題材なので、こうした特殊な撮影機材がなければ、成立しなかった企画だろう。しかし、いつもの熊澤映画との違いは、照明設計かもしれない。

■ただし、ドラマ的には弱く、戦前の飛び込みの名選手であった祖父を超えようとする少年のエピソードなど、あの描き方では、感情移入の対象にはならないだろう。それに比べると、自分を取り囲む枠を飛び越えるためにダイブする主人公のほうに普遍性が感じられるし、冒頭の夕焼けの中に飛び込み台の威容を発見して魅入られる簡潔な映像表現が出色なこともあり、一応の成功を収めている。中学生男子という微妙な世代を扱った映画というのも、案外珍しいのではないか。

■しかし、熊澤尚人という人はとことん腐女子映画作家だな。最新作は来週公開の「君に届け」という漫画原作映画だが、これも基本的に少女(向け)映画だろうしね。でも、「君に届け」は観に行ってしまいそうだ。撮影はレギュラーの藤井昌之なので、ぜひ映画館で観ておきたい気がするのだ。

■製作は角川映画、日本映画ファンド、NTTドコモ他、制作は角川映画


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