蒼き狼 地果て海尽きるまで
2007 スコープサイズ 136分
DVD
原作■森村誠一 脚本■中島丈博、丸山昇一
撮影監督■前田米造 撮影■小川洋一 照明■矢部一男
美術監督■中澤克己 音楽■岩代太郎
特撮監督■佛田洋 第2班監督■原田徹
VFXスーパーバイザー■野口光一 VFXプロデューサー■氷見武士
監督■澤井信一郎
■テムジンがモンゴルの部族を束ねてチンギス・ハーンになり、隣接する大国金に戦を仕掛けるまでをモンゴルロケで描く製作費30億円の超大作だが、小学生でも簡単に批判が可能なレベルの欠点を多々抱えている。
■そもそも物語自体に全く面白みが無いうえに、モンゴル平原で大規模に撮影された合戦シーンに斬新さとスケール感が不足していてハリウッド映画や中国映画の模倣の域にも達していないし、なんといっても主演の反町隆史にカリスマ性が皆無で、せいぜい暴走族の族長くらいにしか見えないので、全く企画として成立していない。
■若村真由美はその美貌といい演技力といい、本作の中心人物なのだが、老けメークが拙く、後半の登場場面に無理がある。テムジンと息子ジュチの確執についても劇的に掘り下げが足りず、全く見せ場になっていない。
■そもそも、せっかく日本映画が西部劇を撮れる素材なのに、アクション映画を志向していないせいで企画に無理が生じているのだ。戦利品として取引され、略奪され犯される存在としての女に着目したのはユニークな視点だが、映画としてはアクション映画として作劇されなければならないはずなので、中島丈博よりも、丸山昇一を中心としてモンゴルの史劇を西部劇に換骨奪胎すべきだったのだ。
■特撮研究所と東映アニメーションによるVFXはCGとデジタル合成、作画合成が主体だが、映像素材として実写撮影も行われているようだ。大俯瞰で軍勢がぶつかり合うカットなどはCGのスペクタクルな見せ場だが、ハリウッド映画で見慣れた演出なので、今更という感じだ。
参考
澤井信一郎のキャリアは途中から失速した感じがしますよね。企画がイカンのもあるけど、本人が好き嫌いしたのかな。でも『宇宙刑事シャイダー』は良かったしなあ。なんだろね。
maricozy.hatenablog.jp
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