ウルトラヴァイオレット ★★☆

ULTRAVIOLET
2006 ヴィスタサイズ 87分
MOVIX京都(SC1)


 お話は・・・よく判りません。近未来の世界で、何かの鍵となる少年を守り抜くため、謎のヒロインヴァイオレットが華麗なアクションを繰り広げる。

 ガンカタというユニーク且つ異様にカッコいいアクション様式を考案した「リベリオン」は、制作費の少なさゆえにVFXの使用に制約があり、生身のアクションに力点を置かざるを得なかったが、今回は制作費が潤沢になったかと思いきや、むしろ制作規模が圧縮されており、なんと制作実態は香港映画で、香港と上海でロケされている。プロデューサーも撮影もVFXも香港スタッフ。しかも、シネアルタによるデジタルビデオ映画である。色彩の濁り、輪郭の甘さが貧乏くさく、VFXのレベルも部分的には日本映画以下。

 監督のカート・ウィマーは前作ではいい脚本家でもあったのだが、今作の底抜けぶりは凄まじい。物語自体常人にはよく理解できないし、必要なエピソードがごっそり抜け落ちている。設定の陳腐さも救いがたい。異様に短い上映時間から考えても、制作体制になんらかの齟齬があり、香港映画ルールでプロデューサーがアクション中心にまとめてしまったのではないか。

 といった風で、逸材カート・ウィマーにとっては汚点となる作品に違いないが、ヒロインを演じたミラ・ジョボヴィッチのハマリぶりは圧倒的に素晴らしく、滑らかな腹部を露出したタイトなコスチュームや、やたらと足元から舐め上げるようなキャメラワークで、完璧な肢体を礼賛した演出姿勢には賛同したい。ミラの生かし方としては「バイオハザード」よりもさらに正しく、ガンカタの発展形としては違和感もあるアクションも、彼女の存在感のおかげで何とか持ちこたえている。

 あろうはずもない続編では、是非元祖ガンカタ野郎、クリスチャン・ベールとミラジョボの美的頂上決戦を見せてほしいものだ!
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