編集し直せばもっと良くなるのに!『大殺陣』(3周目)

大殺陣

大殺陣

  • 里見浩太朗
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基本情報

大殺陣 ★★★
1964 スコープサイズ 118分 @NHKBS2

感想

■特に好きでもないのになぜか3回も観てしまった、集団抗争時代劇。明らかにいろいろと歪で、そんなにいい出来ではないのに、心に引っかかるディテールがあって、いつもざわざわする。いつも言ってるけど、工藤栄一は過大評価されていると思う。

■三回も見ると、いろいろ粗が目について、砂塚秀夫はきっとシナリオには描かれているのにほとんど割愛されたのだろうとか、前半部が冗長でもっと刈り込めばテンポが出るのにとか、普通そうするよなあとか、クライマックスの大殺陣も、もう少しテンポアップしないと間が持たないとか、ラストも間延びしているなあとか、弱点が目についてしまう。浪士集団の集結は普通はもっと省略を効かせてサクサク展開して盛り上げるはずなのに、流れが鈍い。これは他の映画でも気になる工藤栄一の生理的なものだろうと思うが、増村保造とか舛田利雄とか岡本喜八といった、「カッティング命」世代の映画で育った(?)世代には、冗長過ぎる。

■一方で、大坂志郎の貧乏浪人の一家の、正直あまり必要性を感じないほどの惨劇(トラウマ必至の無理心中)とか、無惨な宗方奈美の最期とか、大老酒井(大友柳太朗)の圧政に対する山鹿素行(安部徹)のテロ計画に共鳴して「運動」に潰されてゆく不平分子たちの人生の、醜悪とも言える最期に込めた思いは、さすがにどす黒く心に蟠る。彼らの反抗の意気に感じて一気に改心するノンポリ武士平幹二朗も、作劇としてはいいところなのに、演出と編集のテンポが十分に活かしていない。勿体ないなあ。もっと良くなるのに!「同じ日、同じ場所で、暗殺は二度起きない」というアイデアと台詞も秀逸だったのになあ。

■反体制運動、新左翼活動のおのずから引き寄せるべき「自壊」「自滅」の宿命については、けっこういろんな映画で的確に予見されていて、なんでそのとおりに破滅していったのか不思議でならないのだけど、人間心理や人間集団の心理について、一定の経験的な知見があれば、容易に見通せた未来ということだろうなあ。いまや新左翼運動なんて、完全に迷宮的な徒労に思える。そんな時代だからなあ。


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