ロマポはあまり観てないけど、素朴に私淑してます!『多重映画脚本家 桂千穂』

■大昔に読んだ本だけど、再読しました。日活ロマンポルノ(以下、ロマポ)は環境が整わないと、なかなか観られないので困りますね。ぶんぱくではかからないしなあ。

■桂千穂の自選傑作としては、西村昭五郎の『色情妻 肉の誘惑』『黒薔薇夫人』『鏡の中の悦楽』、長谷部安春の『暴行切り裂きジャック』、林功『ザ・コールガール 情痴の檻』、小原宏裕『ズームアップ 暴行現場』、斉藤信幸『昼下がりの女 挑発!!』(大・変態映画らしい)、黒沢直輔『ズームイン 暴行団地』(これも大概らしい)といったところらしい。ほとんど観てないなあ。
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■特に気になるのは『嘆きのテレーズ』を翻案した、というかほぼそのままの『ザ・コールガール 情痴の檻』だなあ。これはぜひ観てみたい。当時の日活ではPや監督との打ち合わせで、今度は昔のハリウッド映画やフランス映画のあれで、という程度の打ち合わせでシナリオを書いていたらしい。これはたぶん、ロマポ以前からの日活の伝統だと思う。

■そもそも日活で書くことになったのは、桂千穂が映画評論(たぶん)に書いていた評論を読んだ中島丈博が、ヴァディムの『血とバラ』は良いよねと意気投合したことから、中島丈博が紹介したことから。ちなみに、中島丈博のほうが年下。

■作風は、基本的にドライなところが持ち味で、和風の湿った人間関係や世界観が希薄なところがユニークなんでしょうね。もともと筋金入りの怪奇畑のひとなのに、なぜか純粋な怪談映画は書いておらず、ジャンルとしてのホラー映画も『HOUSE』を除けば、ロマポでは加藤文彦の『オーガズム・真理子』くらいしかないというのが実に不思議。普通に考えれば、当時たくさん作られたテレビの怪談番組なんて書くはずなのに、一切ない。それこそ東宝で血を吸うシリーズなんて書いても時期的におかしくないのに、その線もない。むしろ、ロマポでは中島丈博が怪奇ゴシック風味の良い話を書いているのに。

■赤川次郎に対する共感も実に頷けるところで、両者は基本的に嗜好が似てると思いますよ。怪奇とミステリーの先駆者。

■ちなみに、新人シナリオコンクール入選作で物議を醸した『血と薔薇は暗闇のうた』のシナリオが載っていて、例の黒地に白地の体裁そのままなので、読みにくいこと夥しい。確実に眼がやられる。しかも、妙に長くて、その割にお話が薄くて、何がいいたいのか、今となっては狙いが伺い知れない。エロ・グロ・ナンセンスのアングラ時代の産物という感じしかしないなあ。白坂依志夫や寺山修司の人脈によって、一種のスキャンダル性を帯びたのだろうなあ。ただ、細部のエロ・グロのアイディアは後のロマポや『HOUSE』で再利用されているので、エコですね。

■なんといっても、毎月欠かさず立ち読みしていた月刊「シナリオ」誌の連載「日本映画を面白く見る方法」が強烈に印象的で、あれは凄かった。あれで映画の見方とか組み立て方の基本を勉強したので、映画の好みがもう、ストレートに影響を受けてますね。増村保造の評価、特に血まみれの『夫が見た』の高評価には共感したものです。映画の見方の師匠だと思って、私淑してます。ロマポの代表作、観ないとなあ。

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