『映画クレヨンしんちゃん 嵐を呼ぶアッパレ!戦国大合戦』

基本情報

映画クレヨンしんちゃん
嵐を呼ぶアッパレ!戦国大合戦
2002/VV
(2002/4/29 京都宝塚劇場)
脚本/原 恵一
作画監督/原勝徳、大森孝敏、間々田益男
絵コンテ/原 恵一、水島努 演出/水島 努 
音楽/荒川敏行浜口史郎
ねんどアニメ/石田卓也
監督/原 恵一

感想(旧HPより転載)

 何故か戦国時代にタイムスリップしたしんのすけは、そこで秀麗な姫と城内随一の剣の使い手で姫に想いを寄せながら素直になれない家臣の侍と出逢うが、隣国が挙兵し城に迫ってきたことから、笑いと涙の大合戦に発展してゆく。
 大好評をもって迎えられた前作はかなり観客を選ぶ作品だったが、今度は何を思ったか正攻法の戦国時代劇で、しんちゃん一家は脇に徹しながらもラストにはちゃんとテーマを担って立つという技巧が見事に奏功して、前作に引けをとらないどころか、より間口の広い傑作となっているから驚嘆する。
 第一級のアクション映画であり、正攻法の時代劇であり、心憎い恋愛映画の秀作でもあるという、娯楽映画の逸品。映画の技術面はともかく、志の高さではこのゴールデンウィーク中随一であることは確実だ。
 当然の事ながら黒澤明の時代劇や稲垣浩の「風林火山」といった諸作品の影響を随所に散りばめながら、実は正統派時代劇の雄である伊藤大輔の泣きぶりにもっとも近いのではないかとおもわれることろがこの映画の懐の深さであり、子供向けギャグアニメの枠内でやすやすと正統派時代劇が成立してしまうという信じがたい現実の皮肉に京都の映画人たちは歯がみすることだろう。
 何よりも戦国時代の合戦の闘いぶりをアニメで忠実に再現しようとするクライマックスでの演出家の強い意志に感動するし、いつもながらに的確な劇伴のリズムに感情が突き動かされ、悲愴な戦に対して檄を飛ばす主人公の侍の表情には涙を禁じ得ない。
 戦を戦い抜くことでしか生きることのできなかった時代の青春(!)の熱と虚しさを描いて、原恵一の目論見は実は”青春映画”にあったのではないか。考えてみれば、前作もノスタルジーというよりもまさに遅れてきた青春映画そのものではなかったか。
 「青空侍」という原題の持つ痛みが胸に突き刺さる清冽なラスト、あまりにも出来過ぎた傑作だ。
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