秘剣 ★★★

秘剣
1963 スコープサイズ 108分
NHKBS2
原作■五味康祐 脚本■木村武、稲垣浩
撮影■山田一夫 美術■植田寛
照明■山口偉治 音楽■石井歓 合成■松田博
監督■稲垣浩

■久しぶりに再見。太平の世に真剣で立ち会えないことに不満を持つ若侍たちが藩内で連続辻斬り事件を起こし問題視されるなか、宮本武蔵に無礼を働いた早川典膳は藩命を無視して奈良にこもって秘太刀を開発する。義理の兄に連れ戻された彼は、しかし、秘剣を用いて藩の重役たちを襲撃する。秘剣に狂い、打ち首を命じられた典膳を追うのは義兄長十郎の役目であった…

寛永年間の天下泰平を祝えず、跳ね返る若者たちと彼らを力ずくで抑え込もうとする老人たちの対立のなかで、剣豪と呼んでも過言でない腕前を生かす場がない典膳の青春の鬱屈と狂気を昏いタッチで描いた異色の時代劇。

■主演の市川染五郎がフレッシュで力強く、既成の枠にはハマりきらない、抑えきれない、青春の血の滾りを的確に演じている。田村奈巳と池内淳子が生きていないのは、稲垣浩が女に興味がなかったからだろう(?)。東映ならもう少ししっくりくる配役になるはずだ。

■原作は未読なので、木村武(馬淵薫)がどの程度原作を改変しているのか気になるところ。優れた時代劇映画のほとんどがそうであるように青春の蹉跌を描いた映画で、稲垣浩東宝時代の代表作の一本と呼んで過言でない意欲作。