『映画クレヨンしんちゃん 爆発!温泉わくわく大決戦』

映画クレヨンしんちゃん
爆発!温泉わくわく大決戦
1999/ビスタサイズ
(99/12/24 V)
脚本・原 恵一
音楽・荒川敏行浜口史郎
演出・水島努、原勝徳
作画監督・堤規至、間々田益男
監督・原 恵一

感想(旧HPより転載)

 お馴染みの野原一家が温泉Gメンとともに地球温泉化計画によって世界を温泉に沈めようと企む秘密結社YUZAMEと闘うおバカなアクションアニメで、ギャグの冴えはだいぶん衰えてきたようだが、伝説の金の魂の温泉の精が丹波哲郎だったり、後半のYUZAME率いる巨大ロボットの進撃シーンから急に怪獣映画に転調したりするあたりのスタッフの趣味が暴走した部分にえもいわれぬおかしさが横溢してそろそろ息切れ気味だった前作の汚名を晴らす痛快作に仕上がっている。

 少なくとも特撮怪獣オタクにとっては大爆笑&感涙必至の趣向で、映画館で観られなかったのが返す返すも残念だ。観に行くつもりだったのになあ。

 「皆様の自衛隊がロボット退治にやってまいりました~」とスピーカーでがなり立てながらのどかな田園地帯を進撃するシーンも凄いが、景気づけに「怪獣大戦争」マーチを流す自衛隊というのも、マニアがパロディで自主映画などでやりそうなネタを堂々とお子さま向け(?)アニメに突っ込む大胆さに絶句してしまう。が、今年の日本映画で単純にこれだけ笑えるシーンも他にないぞ。

 さらに受けてたつ巨大ロボットの反撃手段の輪をかけたもの凄さは是非ビデオで直接確認して欲しい!

 自衛隊と巨大ロボットの攻防シーンの実写的な凝り方も「ゴジラ2000ミレニアム」を軽く凌駕しており、こちらのほうがよほど怪獣映画らしいのは困ったことだ。なにしろ作画スタッフにはマッドハウスも参加しているから、このあたりの作画レベルは安心してみていられるのだ。

 しかし、これだけ心おきなく笑える映画は日本映画はもちろんハリウッドの映画でもなかなかあるものではないぞ。

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