杉咲花と安田顕のドアップ対決!はいいけど、警察とマスコミの関係に違和感がありすぎて腑に落ちない『朽ちないサクラ』

基本情報

朽ちないサクラ ★★★
2024 スコープサイズ 119分 @イオンシネマ京都桂川
原作:柚月裕子 脚本:我人祥太、山田能龍 撮影:橋本篤志 照明:打矢祐規 美術:我妻弘之 音楽:森優太 監督:原廣利

感想

■正直、いまテレビドラマは警察ドラマや事件ドラマばかりで(人が死なないとドラマが作れないのか?)、いい加減観る気がしないので、基本的に警察もの、事件ものはスルーしている。本作も警察ドラマと聞いていたのけど、杉咲花が主演で、安田顕が準主役で出ているから、まあ意欲作だし大丈夫だろうと推察して、初日に観てきましたよ。

■署内の慰安旅行のためにストーカー被害者の対応が遅れ、その後殺人事件に発展したというスクープ報道を受けて、そのスクープを書いたのは自分の親友の女性記者ではと疑うさなか、くだんの記者が殺害される。彼女はストーカー殺人事件の周辺を再調査していたらしいが、なぜ彼女は殺されたのか?警察事務官(杉咲花)の独自捜査が始まる。。。

■というわけだけど、ネタバレは避けたいので、詳しくは書けませんよ。基本的に最初の1時間以上はかなり退屈です。こんなのテレビの2時間ドラマでやれば?というのが率直な感想です。しかも、主人公と死んだ女性記者の関係が不必要にわかりにくく、警察がスクープ記事を書いた記者探しやネタ元探しをするのを良いこととして描いていいのか?それではヒロインに感情移入できないぞとか、おまえ刑事に向いていると上司に言われるけど、ヒロインはその時点では大した働きもしていないし、筋運びがかなりギクシャクしていると思う。もっとスルスルと自然と飲み込めるように脚本を整理してほしいと思う。それが終盤になって、やっと事件の全体構図が明らかになり、ちょっとワクワクする陰謀が露呈する。確かに、これはテレビじゃ無理だろう。

■クライマックスは杉咲花安田顕の膝詰め談判の場面で、劇的にも、演技的にも見応え十分で、やっと杉咲花のポテンシャルが発揮される。安田顕も、『大奥』での派手な怪演とは打って変わって、持ち前の抑えた演技を貫禄で演じるし、演出家も思い切ったドアップを積み重ねる。ホントに三隅研次なみのドアップなので、近頃珍しいスタイルだと思う。でも、演技者二名の期待通りの力演に最終的には大満足を味わえる。この二人だから、もう顔だけでいいのだという自信がうかがえる。そして、最終的に◯◯怖い!(既にいろんな記事で出てますけどね)という結論は、大変納得です。

■でも、警察がマスコミに対してスクープ記事(最終的には誤報だけど)のネタ元を明かせと迫ったりするし、警察事務官と地方紙記者がずぶずぶだったり、どうも警察とマスコミの関係性に違和感が残り、作者の視点が警察に偏りすぎていると感じる。ゆえに、なかなか素直に楽しめないのだが、ほとんどが原作由来らしい。いいのかなあ。


参考

杉咲花がブレイク中。でも、コメディも観たいなあ。
maricozy.hatenablog.jp
maricozy.hatenablog.jp
安田顕はいまいちばん信用できる性格俳優ですね。
maricozy.hatenablog.jp
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