なかなか楽しい、坂元裕二の社会派ドラマ『わたしたちの教科書』前半(ネタバレありあり)

■「世界を変えることは、できますか?」そう言い残して、中学校で女子生徒(志田未来)が転落死した。いじめがあったと確信する女弁護士(菅野美穂)は、彼女を施設に捨てた元継母だった。担任の代用教員(伊藤淳史)は学校を支配するただならぬ隠蔽体質を糾すために弁護士に協力するが、副校長(風吹ジュン)の巧妙な懐柔策により体制側に寝返る。女弁護士は所属事務所を追われ、許婚(谷原章介)とも別れて、法廷での対決を覚悟する。。。

■というのが前半#6までのお話の概要。2007年4月期のドラマで、後の2010年『Mother』よりずっと良くて、いわゆる社会派ドラマだけど、素朴な伊藤淳史を軸に、静かに密かに狂っている中学校の隠蔽体質というか、さらにそれ以上の秘められた腐敗と暗部を、彼の目を通して示唆しながら前半は展開する。でも実は#7までが第一部で、以降の#12までが第二部の裁判編になる構成らしい。

金八先生に憧れたという伊藤淳史と、意外と苦労人(?)らしい女弁護士 菅野美穂の二人を主人公として、学校の中でなにがあったのか、本当にいじめがあったのか、それは教室だけのことなのか、教員組織も含めて、何かに巧妙に管理され腐敗されていたのではないかと問いかけるドラマ、のようだ。菅野美穂の演技は本人のコントロールを超えた部分でナイーブなニュアンスを感じさせるので、結構スリリングで、天性の女優だと思う。そこは『Mother』の松雪泰子との大きな違いだと思う。伊藤淳史はもう持って生まれた個性の一発勝負ですよ。

■なんと17年前のドラマなので、谷村美月がまだ女生徒(!)だし、酒井若菜が大活躍だし、水嶋ヒロが根暗なオタク教師を演じるし、さすがに時代を感じますね。。。おまけに伊藤沙莉が生徒役で出てるよ。若いのにキャリア長いなあ。

© 1998-2024 まり☆こうじ