大河ドラマ『光る君へ』で光る冬野ユミと中島由貴の華麗なる戦歴

■『光る君へ』は冬野ユミの音楽が秀逸な出来で楽しいですね。宮廷らしくバロック風味に加えて、NHKなので当然ジャズ的な要素まで盛り込んだジャンルレスな広範囲な作風で、NHKなのでウッドベースの重低音もボンボン弾みます。

■冬野ユミは、NHKの内田ゆきPや中島由貴Dとの仕事が多くて、これまでのドラマも『お買い物』(BANANA名義)『迷子』(BANANA名義)『徒歩7分』と秀作揃いなので、ついに大河ドラマ制覇というわけです。もともとスタジオ・ミュージシャンだったらしいので大出世ですね。(でも『アシガール』観てないや…)
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■大河のオープニングなんて、通常なら1,2回観たら飛ばしますけど、毎回律儀にというか楽しみに観てますよ。なぜなら音楽が良くて、官能的な映像とのマッチングも見事で、ドラマチックで完成度が高いから。大河らしい壮大さも確保しながら、メリハリの効いたメロドラマ性を打ち出したうえに、メロディや編曲は実にシンプルという、なかなかの高等テクニックです。NHKのドラマはとにかく音質がいいので、しっかりしたオーディ機器で再生すると、かなり贅沢な味わいです。ちょっとサントラがほしい気分。

■現在6話まで観ましたが、とても楽しいですね。戦争がなく、その意味では平和な時代だった平安時代。でも、男たちは宮廷で権力闘争に明け暮れて、結局血の流れない戦争を戦っている。しかも、戦争がないだけに、大きな権力を握るためには、その中枢にある天皇との血縁化を図ることが欠かせず、その時の道具となるのが一族の娘という女の存在だったという残酷な構図のなかで、まひろを中心とする女たちが男たちの道具であることに抗っていかに生きるのか、男たちの本能としての闘争志向に対してどんなアンチテーゼを打ち出してくるのか、というところが当面の見どころでしょうか。男たちの権力闘争に利用されているかにみえて、その裏では女たちの権謀術策が男たちを操っていて。。。といった展開?

■中島由貴の演出は『迷子』とか『徒歩7分』などに比べるとやはり硬い気がするので、今後は大石静がもう少しコメディに振ってくれることを期待したい。もっとラブコメにできるはずだから。重厚、絢爛、耽美を求めるEPはNHKの重鎮(?)黛としろうが演出して、ラブコメ要素強めの回は中島由貴という棲み分けでいいんじゃない?

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