実は「アウター・リミッツ」だよ!でも清原果耶が尊い『1秒先の彼』

基本情報

1秒先の彼 ★★★
2023 ヴィスタサイズ 119分 @イオンシネマ京都桂川
原作:チェン・ユーシュン 脚本:宮藤官九郎 撮影:鎌苅洋一 照明:永田ひでのり 美術:松尾文子 音楽:関口シンゴ 監督:山下敦弘

感想

■生き方のペースが早いハジメ岡田将生)君は、可愛い子ちゃん(福室莉音)とデートする約束だった日曜日が消えてしまったことに気づく。一方、人より生き方のペースがワンテンポ遅いレイカ(清原果耶)さんは彼のことが好きだけど言い出せないでいた。。。

■なにしろ宮藤官九郎の脚本で山下敦弘監督、しかも京都ロケなので日本映画ファンとしては気になって当然という新作だけど、あまり話題になっていないような。。。台湾映画『1秒先の彼女』のリメイクということも知りませんでした。

■お話を詳しく書くと支障がありそうなので、簡単にいうと、「トワイライト・ゾーン」とか「アウター・リミッツ」系のお話です。なので、それらが好きな人は絶対観たほうがいいです。特に「アウター・リミッツ」のあれとかあれは直接の参考になっていると思う。そして、本作も負けてはいない。

■ただ取扱い注意の必要な映画で、実際のところ前半はクドカン風味のえー?とかはあー?という例の強めのリアクション演技が痛々しくてかなりきつい。クドカンのテイストと山下監督のスタイルが合っていないと感じる。正直、寒々しいのでどうなることかと思うけど、後半で視点が清原果耶に転換してからやっと映画らしくなってくる。特に、大学(立命館大学らしい)のキャンパスである異変が起こり、清原果耶がおそるおそるに、でも自分のペースでいきいきと動き出すあたりは、さすがに山下監督らしい繊細な感触が発揮されて、素直に素晴らしい。VFXIMAGICAの浅野秀二チームが担当だが、かなりの部分をフィジカルに撮ったらしい。このメイキングがぜひ見たいのだけどね。メイキング映像は絶対マジカルだから!

■お話のリアリティラインの掴みどころに困るところはあるけど、なにより清原果耶という若手の注目株らしい女優の真価を初めて知りました。この映画を観ると、みんな清原果耶に惚れるでしょう。清原果耶を観るためだけに映画館に行くべき。反対に岡田将生くんはとても損な役どころで、前半が滑りまくるのでとても気の毒な感じ。一方、噛ませ犬として登場するワケアリのカワイコちゃんの福室莉音という女優もなかなかの貫禄で、侮れないね。初めてみたけど。

■そうそう、岡田将生の失踪した父親が加藤雅也で、来週から「ウルトラマンブレーザー」に登場するんだよね。今月は加藤雅也月間だよ。



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