WOOD JOB! 神去なあなあ日常 ★★★★

WOOD JOB! 神去なあなあ日常
2014 ヴィスタサイズ 116分
APV
原作■三浦しをん 脚本■矢口史靖
撮影■芦澤明子 美術■花谷秀文
照明■永田英則 音楽■野村卓史
特撮監督■佛田洋 VFXスーパーバイザー■西尾和弘
監督■矢口史靖

■なんとなく公開されて話題にもならず終了したという印象しかない本作だが、実は稀にみる傑作。所謂職業ハウツー映画の系譜に堂々と属するコメディ映画だが、林業を正面から扱った映画はほぼ皆無だし、山や神との関わりまで踏み込んでドラマ化した姿勢には真摯なものがある。

■一方で、クライマックスの奇祭には開いた口が塞がらない矢口史靖ならではの、人を食った趣向が用意されている。しかも、全くアナウンスされていないが、驚くべきことにクライマックスには突然『地球最後の日』モチーフが登場する正統派東宝特撮映画なのだ。東宝映像美術はもう特撮スタッフを抱えていないので、特撮研究所佛田洋が演出して、一大ミニチュアワークと秀逸なVFXのコラボレーションを見せる。むかしの東宝で、クライマックスだけ円谷英二が大特撮を披露する類の映画があったけど、まさにあれの系譜。特撮研究所のスタッフがクレジットされていないので、ミニチュアワークは本編スタッフで撮ったらしい。日テレの『猿飛佐助』で佐川和夫とかが描いていた奇想天外な妖術描写のミニチュアワークの、まさにあの感じ。

■杣人の生活と精神世界をコメディとして描きながら、山神との交流まで盛り込んで、最後にはお待ちかねの巨大なご神木の切り出しまでみっちりと描いた矢口史靖の姿勢と技術は称賛に価するし、クライマックスの奇祭を考えただけでも偉いけど、大真面目によくも描き切ったと感動する。ほんとにいい映画なので、必見。

■製作はTBSテレビ、博報堂DYメディアパートナーズ、日活ほか、制作はジャンゴフィルム。文化庁藝術振興費補助金の助成を受けた。

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