オレの名は斎藤武市。小津や成瀬にはなれなかったけれど…『若い東京の屋根の下』

基本情報

若い東京の屋根の下 ★★★
1963 スコープサイズ 89分 @アマプラ
企画:児井英生 原作:源氏鶏太 脚本:才賀明 撮影:横山実 照明:高島正博 美術:坂口武玄 音楽:吉田正大森盛太郎 特殊技術:金田啓治 監督:斎藤武市

感想

■父親が定年間近だけど再就職が決まらず、兄妹のだれが経済的に実家の面倒を見るのかと気をもみ、末娘が何かと一家の調整役として奮闘するうち、二階に下宿する大学生とはぶつかり合いながらも好意をおぼえ。。。

■という中流家庭を舞台としたホームドラマで、東宝で盆と正月に成瀬が撮っていたオールスターキャストのちょっとシビアな文芸映画タッチの家庭劇の雰囲気に近い。監督の斎藤武市はもともと小津組の助監督だから、当然小津調も意識するし、成瀬的に会社の意向は重視しながら自分のタッチを出そうともする。実際、かなり出来は良くて、意外に面白い。

■特に長男が死の床にある昔の彼女のもとへ通うエピソードなど、掘り下げがいがあるのだが、結局は中途半端に終って、行方不明と思われた息子が無事帰ってきて、妹の吉永小百合に長男夫婦が説教されて終わってしまう。小百合がブチ切れて大人社会に異議申し立てをするのが、ある意味この時代の小百合映画の名物で、見せ場でもあったわけで、最終的にはちゃんと小百合映画として決着するから、浜田光夫との恋話で終わる。

伊藤雄之助、下元勉、近藤宏、という主人公一家の男たちの配役も珍しくて、特に夜学の先生をやりながらテレビの脚本家を目指す近藤宏は良い役デスね。

■しかも、そのあとにオリンピックを控えて発展著しい東京の街を車で走りながら主題歌が延々と流れる、取ってつけたような歌謡映画の体裁で終わるから、企画意図も明白だ。主題歌は橋幸夫吉永小百合のデュエットだが、橋幸夫は出演していない。
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