殺したのは鷲か鷹か?意外にも冗長な海洋活劇『鷲と鷹』

鷲と鷹 [DVD]

鷲と鷹 [DVD]

  • 発売日: 2002/09/27
  • メディア: DVD

基本情報

鷲と鷹 ★☆
1957 スコープサイズ 115分 @DVD

感想

■おんぼろ貨物船の機関長が何者かに殺された。航海に出たその貨物船には臨時雇いの正体不明の船員が二人乗り込んでいたが、船長は何かに怯えていた。二人のうちのどちらかが機関長を殺し、次は自分を殺しに来たのでは?船長は疑心暗鬼に駆られるが。。。
■大日活が贈る昭和32年度の芸術祭参加作品ですよ。構想10年、製作費1億円の超大作という謳い文句なんだけど、確かに洋上ロケ撮影は大規模に行われているものの、どう考えても話のスケールは小さくて、これが超大作だと言い張る当時の日活の体力のほどを伺わせる。クライマックスは嵐の洋上でのスペクタクルになるけど、意外にも待ちに待ったミニチュアワークは無くて、狭苦しいステージ撮影で押し通す。ちゃんと日活特殊技術部がクレジットされているのに、どうしたわけか。ミニチュア撮影はしたけど、出来が悪いので監督が使わなかったという顛末ではなかろうか。。。
■しかも、脚本がまるで面白くなくて、貨物船内の描写も船員たちは全く何の仕事をしているのか描かれないし、機関長殺害の真犯人の謎解きがあるわけでもなく、サスペンスもなければ、活劇というわけでもなく、一体何を目指したのか理解に苦しむ。
裕次郎三國連太郎と激突するという配役の趣向は悪くないのに、お話がこれでは、まるで盛り上がらない。ルリ子とのラブアフェアもロケ撮影の粘りは悪くないけど、ドラマとして全く浅い。唯一生きているのは女を殺して逃亡中で時効間近のボースンを演じた澤村国太郎のエピソードだけ血が通っている。月丘夢路の中途半端なバンプぶりもなんとも締まらない。
■訳アリの船長が二本柳寛なんだけど、本来この人が準主役でないと話にならないはずが、時々思い出したように出てくるだけで、ちっとも身が入っていないので、サスペンスも生まれない。それでいて115分もあるので明らかに冗長。井上梅次って、それなりに信頼をおいていたんだけど、なんだか怪しいぞ。
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