南野陽子の怪演を称賛せよ!『大奥 最終章』

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■お馴染み、フジテレビの大奥シリーズも最終章を迎えた。らしい。ホントかどうかは知りませんよ。まだなんぼでも作れますわな。
■脚本は浅野妙子、演出はもちろん林徹。制作は東映京都が請け負ってます。往年の東映京都を想起させる豪華絢爛な美術装置が眼福です。もちろんロケが多いわけですが、姫路城の大規模ロケも効果的ですわね。ステージ撮影もかなり豪快なスケール感で、さすがにフジテレビ60周年記念作品。
■肝心のお話は、八代将軍吉宗の側室のお久免の方がいかに生さぬ仲の子供たちを愛し、浮気者の将軍を支え切って、さらに大奥の陰謀をねじ伏せて徳川家の末代までの繁栄の礎を築いたかという美談を真正面から描く。しかも3時間枠なので、ええ具合に眠気を誘いながら、滔々と語られる。お久免の一種の鈍感力を木村文乃が堂々と演じているから大したものだし、浅野妙子の脚本も悪くない。それほど捻った作劇ではないのだが、蜜柑を小道具として使い倒したのも東映らしいし、プラトニックに(?)愛し合いながら別れを受け入れる竹姫とのエピソードなども、定石ながら良い見せ場。浅野妙子と林徹のコンビって、こうした古典的な見せ場が上手いのだ。
■もともと京都でのキャリアが長い林徹監督は、大奥の炎上場面も実写にこだわった演出を見せ、ごうごうと燃え盛る屋敷を横移動で見せる場面など、意欲的な画づくりを見せる。いまどき、こうした生火を使った豪勢な撮影は東京では消防署が許可を出さないらしい。何しろ撮影は江原祥二他2名、美術は吉田孝、照明は杉本崇だから堂々たる正統派の時代劇ですよ。
■しかし、この作品で一番の見どころはナンノなんですよ。南野陽子が敵役の大奥総取締を演じて、これぞ性格俳優!という凄みを見せるのだ。眉を落として、どすの効いた低い声で策謀を巡らせる天晴な悪役を、その見事な最期まで演じ切ったナンノ、脇役とはいえ、これは一番の儲け役で、玄人筋も評価せざるを得ない見事な化け方だ。ナンノは発声が細くて、年相応の肝の据わった人間味が表現に現れないのが欠点だったのに、こんな役柄が演じられれば、もう怖いものは無い。見事に性格俳優の仲間入りじゃないか。スケバン刑事から見続けてきた身にすれば、南野陽子の見事な演技派への脱皮には快哉を送りたい。おめでとうナンノ、やっと歳相応の演技の肝を掴んだ‼なんとなく、男優なら本田博太郎が演じそうな役柄のような気もするけどね!
■一方で、ちゃんと配役に参加している当の本人、本田博太郎先生は、臭~い芝居の見本を演じてみせて圧巻。きっと現場ではスタッフが物まねして受けたろうねえ。
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