経済が悪くなると国民の民心が荒み、軍部に一発大逆転を期待し始める!それって過去の話?『小学館版学習まんが 日本の歴史 16 恐慌と軍部の台頭 ~昭和時代1~』

■おなじみ、小学館の学習まんがだけど、バカにできませんよ。結構定評のある本です。

■15巻の大正時代をまだ読んでないけど、これも読み応えがあり、高橋是清はわかるとして、井上準之助に感情移入させる作劇は、珍しいね。とか田中義一の不甲斐なさとか、西園寺公望の存在感の大きさとか、北一輝より井上日召の方が扱いが大きいぞ、とか。なかなか見どころが多い。

■このシリーズが秀逸なのは、各巻けっこうドラマになっていて、感情に訴えかける手法をとっている。これは、退屈させないだけでなく、心理学的な学習効果も狙ったものだろう。感情の絡んだ記憶は、結構定着するものなのだ。教科書読むより、ずっと面白い。

■1927年からの、たった10年間で、山東出兵、世界恐慌、昭和恐慌、満州事変、5・15事件、国連脱退、2・26事件と盛りだくさんの大事件があり、大正デモクラシーの時代の空気が大転換する、非常に重要な時期。立憲民政党の浜口内閣で国際協調外交を志向して海軍軍縮条約を締結するけど、逆に軍部の恨みをかって、軍部が跳ね返るし、昭和恐慌で民意は政党政治を見放す。政党政治は終わるし、国際的に孤立するし、天皇ですら軍部の暴走を制御できない…その道は地獄へ続く道だ。

■とにかく経済問題がくせもので、これが恐慌などで極端に悪化すると、「貧すれば鈍する」で、民心は極端に悪化する。先行き不透明の状況では、近視眼的で乱暴な打開策、いわゆるイキった極論が歓迎されるようになり、一番手っ取り早い「暴力」的手段に期待感が出てくる。これ、今の話?まあ、人間の歴史は同じようなことを飽きずに繰り返す歴史なんですね。人間て、意外と、進歩しないものなのだ。

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