加賀騒動 ★★★☆

加賀騒動
1953 スタンダードサイズ 95分
BS2録画
原作■村上元三 脚本■橋本忍
撮影■三木滋人 照明■山根秀一
美術■角井平吉 音楽■高橋半
監督■佐伯清

加賀騒動の大悪人として講談や浪曲で描かれる大槻伝蔵の真実は全く逆の忠臣ではなかったか、という逆転の発想による時代小説を橋本忍が脚本化した傑作時代劇。しかも、メロドラマとして構築されており、晩生の大槻伝蔵が見初めた娘お貞が殿様の側女となったことを知って、今までの大槻伝蔵は死んだ・・・と出世の鬼となり、成り上がって善政を行おうとする様子と並行してお貞との心理的すれ違いが、かなり格調高く描かれる。橋本忍のメロドラマとしては代表作の部類に入るだろう。
■殿様の寵愛を受けて格別の出世をとげた大槻は、殿の急逝後、当然のこと反対勢力による追い落としで、切腹を命じられるが、その使者に選ばれた家老薄田研二と加藤嘉の舌戦の場面は橋本節の見せ所で、腹に嵌る合理的な理由を示せと迫る薄田研二に加藤嘉は、大槻に謀反の証拠があることを示そうとする。しかし、結局藩を取るのか大槻を取るのか二者択一を迫られた家老は大槻を切るしかないという無力感。
三島雅夫の殿の寵愛を受ける大槻伝蔵にはリアルに考えれば、衆道的な意味合いが含まれるはずだが、演出的にはそこにはあまり踏み込まない。大友柳太朗がとにかく好演だし、ほとんど台詞もない山田五十鈴の彼への迸る秘めた想いの発露は鮮烈。橋本忍の絶頂期の筆の冴えは恐ろしい。