さよなら渓谷 ★★★☆

さよなら渓谷
2013 ヴィスタサイズ 117分
DVD
原作■吉田修一 脚本■大森立嗣、高田亮
撮影■大塚亮 照明■?
美術■黒川通利 音楽■平本正宏
監督■大森立嗣

■『そこのみにて光輝く』に続くセックス映画まつり第二弾。子供が殺された事件と取材する週刊誌記者は、隣家の夫婦が異様な経緯でカップルになったことを知る・・・

■これは非常にオーソドックスな作りの映画で、主人公の夫婦が実はある事件に絡む加害者と被害者の関係にあることが判明するのが前半、後半はそうした異様な関係の中で二人の危うい生活が始まるまでを振り返りながら描き出す。週刊誌記者は狂言回しだが、夫婦関係の対比を形成する。

■主人公夫婦の成り立ちはまさに石井隆的で、村木と名美の物語そのものである。おそらく監督もそのことは意識していたはずだと思う。一見幸せそうな夫婦の中に沈殿する贖罪の思いと、激しい恨みの静かなぶつかり合いに、幸せになってはいけない二人の関係の行き着く先に何が待つのか。

■ある意味、木下恵介の『永遠の人』と通じるところもあるが、高峰秀子仲代達矢カップルと違って、実は二人の間にはしっかりとした愛情が存在するゆえに余計に切ない。

■制作はスターダストピクチャーズ、ステューディオスリー、製作はスターダストピクチャーズ、キングレコードファントム・フィルム。文化芸術振興費補助金の助成を受けた。

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