GODZILLA ★★★

GODZILLA
2014 スコープサイズ 123分
Tジョイ京都(SC9)

GODZILLA ゴジラ オリジナル・サウンドトラック

GODZILLA ゴジラ オリジナル・サウンドトラック

■これねえ、非常に興味深い映画ではあるんだけど、単純に面白い映画かといえば、かなり微妙。というのも監督がギャレス・エドワーズだから。前作『モンスターズ 地球外生命体』は傑作怪獣映画だったが、本作も前作の視点を踏襲したものになっている。
■端的に言ってお話は『ガメラ 大怪獣空中決戦』にそっくりで、なんと新怪獣ムートーはギャオスそのものだし、肝心のゴジラも、ゴジラというより平成ガメラにしか見えない描き方。しかもゴジラの登場シーンは異様に少なく、なかなか登場しないし、登場しても所謂怪獣プロレスは終盤に少しだけ用意されているが、基本的に人間たちの背景でドタバタやってるだけで、あくまでキャメラの視点は人間たちに向いている。このあたりの視点の取り方はギャレスの前作と全く同様のもので、怪獣映画でいちばん観たい部分はあっさり省略されるか、テレビ中継映像でしか表現されないというひねくれ方。
■それでもかろうじてゴジラ映画として面目を保っているのは、ゴジラをスター俳優として仮想した演出のケレン味によるところが大で、ギャレスはこうした大衆演劇的な素養もあるのだ。特に秀逸なのはハワイはホノルル空港でのゴジラ対ムートーの第一戦の描写で、ゴジラが登場してひと吼えするところでシーンが終了し、その後の対戦は直接描かないという演出の妙。待ってました、大統領!と客席から声が上がることを想定した通俗演出の面白みがピークに達する瞬間だ。
■それに比べるとクライマックスの対決は基本的に人間たちの遥か向こうのビルの隙間で激突しているという描写に終始する。それでも体を捻って尻尾の綺麗な動きを強調するゴジラの決めポーズはちゃんと踏襲しているし、研究は怠り無いのだが、面白いかというと、やはり微妙。特にこの映画がゴジラ映画として欠けている最大のポイントは音楽であり、ゴジラのテーマ曲の不在である。これがないとゴジラ映画はどう頑張っても50点にしかならない。伊福部昭までとは言わないが、すぎやまこういち大島ミチルも一度聞いたら忘れられないゴジラのテーマ曲を残しているのに、本作を観ても帰り道に全く何も口ずさめないのはさびしい限りだ。
■基本的にアメリカの若い軍人(爆弾処理班)が両親の敵である対ムートー作戦に巻き込まれてゆくというお話だが、全くミリタリズム的な高揚感やサスペンスに欠けるのもギャレスの変なところで、怪獣の去った後を追うロードムービーというのはも前作と同様だが、とにかく描写がシニカルなのだ。
■そのシニカルさで言えば、ビキニ環礁の水爆実験は実はゴジラ殲滅作戦だったという大ネタだけでもう参りましたという感じだったのだが、さらに原発の崩壊から立ち入り禁止区域での事実隠蔽というあたりの先鋭さはホントに日本映画でやりたくて出来なかったことなので、ひたすら悔しい。ただ、日本の描写がかなり杜撰で、ここは東宝がちゃんと手配して手塚昌明を送り込むべきだったと思うぞ。せっかく超シリアスな設定で日本映画が描けない日本の現実を描いているのに、手つきがまるで中華ファンタジー(わざと?)なのは、あまりに勿体ない。まあ、原発事故で放棄された街で米軍管理下で謎の実験が行われている日本って、あまりにシニカルなのでホントに凄いと思うんだけど。
■結局、これはアーロン・テイラー=ジョンソンと新怪獣ムートーの映画であって、ゴジラは客演に過ぎなかったということか。