トゥー・ラバーズ ★★★☆

TWO LOVERS
2008 スコープサイズ 110分
DVD

トゥー・ラバーズ [DVD]
ジェームズ・グレイホアキン・フェニックスのコンビ作なのだが、今回は活劇でも犯罪ものでもなく、堂々たる恋愛映画。といっても、ラブコメではなく、フランス映画やイタリア映画をお手本にした、やはり渋い心理劇。ちょっと、ウディ・アレン風とも言えるかも。

■正直中盤まで、大丈夫かいなと心配しながら観ていたのだが、終盤に差し掛かると急にドライブがかかって、サスペンス豊かな心理劇の本性が現れる。ホアキン・フェニックスがあくまで主役で、うつ病で死にたい死にたい言っている男が何の因果か二股交際に発展し、という勝手にすればという、とんだリア充ぶりなのだが、ラストの選択に、観客は反発を含めて、それぞれに色んな反応を引き起こすだろうことを予想し、期待している作りになっている。いやあ、やっぱり面白いジェームズ・グレイの映画は面白い。明らかにハリウッドスタイルではないんだけど。(NYで撮っているから当たり前ではあるが)

ホアキンが急速に惹かれてゆく訳ありな美女をグィネス・パルトロウが演じて、窓際で片乳まで披露する。これがまあ典型的な不倫女なのだが、こうした厄介な女は確実に存在するよなあというリアリティが感じられる。儚げなところが男を狂わせる無自覚な悪女。どこまでが本当なのか全てを疑ってかかるべき存在。

■しかし、ホアキンの変わり身の早さも、決して人後に落ちない食わせ者であり、それでも生きていくことを選択したことは正しいんだよ、やっぱり。と私は思う。さて、皆さんはどう思われるだろうか。


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