外事警察 その男に騙されるな ★★☆

外事警察 その男に騙されるな
2012 ?サイズ 118分
Tジョイ京都
原作■麻生幾 脚本■古沢良太
撮影■相馬和典 照明■鈴木岳
美術■杉本亮 音楽■梅林茂 VFXスーパーバイザー■オダイッセイ
監督■堀切園健太郎

■もっとリアルな公安警察が描かれるのかと思いきや、ウラン流出や原爆製造といった大味なプロットで、田中泯マッドサイエンティストを演じ、皆からハカセハカセと呼ばれるという、いつの時代のお話かという疑う一種の空想科学映画。おまけに科学者の娘まで登場するというから、ほとんど香山滋の世界だ。なんだか田中友幸テイストだなあ。

田中泯真木よう子も魅力的な配役なのに使い切れていない。それは脚本の具合もあるし、演出プランの問題もあるだろう。真木よう子なんて、「運命の人」の演出が実に巧かったことを再認識させられた。クライマックスの原爆解除の部分など失笑もの。もっとリアルな公安警察の活躍を見せてくれよう。

■ハリウッド映画や韓国映画のエッジの効いたデジタル映像を模したと思われる撮影のルックは日本映画としてはよく頑張ったと思うのだが、力の入れ方のメリハリに謎が多く、全シーン頑張ってしまったためと、エスピオナージュ独特の語り口のため、観客としてはどこに力を入れて観ればいいのか迷うことになり、正直乗り切れない。

■主演の渡部篤郎はある意味ものすごい異形感で、化け物じみている。でも「公安の魔物」なんていい出すと漫画じみて見えるから、大人向けのリアルを目指すならやめたほうがいいよ。渡部×田中の顔面勝負はそれだけで見ものではあるが、ドラマ的に弾けないのは困るなあ。

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