■要は真犯人S少年が奪った三億円を事前に事件を察知していた公安警察らが取り上げて警察の裏金化するというお話だが、北海道警察の裏金事件や信じがたいが実在する稲葉事件などを知った後だと、全くフィクションに感じられないのだ。実際、三億円程度の裏金なら、ちょっと前まで公的機関に普通に存在していたはずだ。さすがにその十倍、百倍の裏金となるとなかなかお目にかかれないだろうが、億程度の裏金は巨大組織に付き物だろう。
■警察庁の有志は秘密結社桜吹雪会を結成、その三億円を警察官の福利厚生、待遇改善、そして不都合な真実の隠蔽工作に使おうとする。その財テクの経緯もさらりと語られるけど、面白すぎる。日本赤軍、M資金、ロッキード事件とさまざまな大事件の裏に百倍以上に膨れ上がった警察庁の裏金が絡んでいたとは!桜吹雪会が潰れかけの暴力団を株式会社化して傘下に入れて非合法活動を行うという筋立ても凄い。
■そうしたアイディア、小ネタが抜群に面白い一方で、いわゆるドラマ的な部分は単調で、まああまり褒められた作劇ではない。最終回も、まあ無難な終わり方でちょっと勿体無い気はする。『八重の桜』が最後まで激しい批判精神を見せて終わったのに比べると、少々こちらは単純だった。しかし原作漫画はまだ継続中のようなので、もっと複雑な真相を明かしてくれるに違いないよ。次は漫画が読みたいよ。