焼肉ドラゴン
2018 ヴィスタサイズ 126分 @MOVIX京都
原作&脚本■鄭義信
撮影■山崎裕 美術■磯見俊裕
照明■尾下栄治 音楽■久米大作
VFXスーパーバイザー■オダイッセイ
監督■鄭義信
■舞台版をNHKで観ているので、どうしてもそちらとの比較で考えてしまう。技術スタッフにナチュラルなルックを得意とする実力派を揃えて、東映京都撮影所で撮ったので、映像のルック的にはさすがに立派なもの。バラックの朝鮮人部落をスタジオ内に見事に再現している。野面の正確な影の出方などさすが。しかし、やっぱり舞台版のほうが感動的なんだなあ。
■真木洋子、井上真央、大泉洋らの役者もよく頑張っているのだが、もともとオモニとアボジが実質的な中心であって、すべてがこの二人に集約するよう作劇されているから、こどもたちは実は損な役回りなのだ。本作でも、結局父母が一番おいしいところをさらっていくし、やっぱり感動的。井上真央なんて、自分自身でもかなり満足しているんじゃないかな。ホントはもっと激しい役をやりたいんだろう。
■一番印象がことなるのはラストで、舞台版では兎に角やるせなくて切ない胸が引き裂かれるような幕切れだったが、映画版では割と楽天的で明るい終幕となっている。個人的には舞台版を推したいなあ。あとね、立退きを告げに来る市役所の職員たちの描き方が雑でステロタイプなのはいただけないよ。あそこはもっとリアルに表現すべき。彼らを包囲するリアルな現実そのもののはずなのに。
■製作はKADOKAWA、ファントムフィルムほか。製作委員会のメンバーの情報があまり公開されていないのは、バッシングを恐れたのか?京都の巌本金属も出資している。また、文化芸術振興費補助金の補助を受けた。