『日本映画[監督・俳優]論 』

萩原健一の興味深い証言による日本映画の監督論、俳優論。意外に面白く、刺激的。萩原健一は役者だけでなく、企画者としても、映画に積極的に関わっているので、映画の成り立ちに対する視点が広いし、具体的なエピソードの数々は、貴重な証言ともなっている。
松田優作原田芳雄の真似をし、萩原健一の真似をし、真似ばかりしているなんて言えるのも、ショーケンならではだろう。実際は、岸田森の真似もしているわけで、松田優作という役者の成り立ちのユニークさを考えるうえでも、興味深い。
■大爆笑なのは、俊藤浩滋にヤクザ映画に誘われたときのやり取りで、なるほど東映実録映画の企画はそうして立ち上がるのかと、納得した。実録映画の原作は、小説とかプロットとかではなく、裁判の調書なのだ。

© 1998-2024 まり☆こうじ