『黒沢清の恐怖の映画史』

■図書館で借りて、やっと読めましたよ。黒沢清の本は、本人の人柄が濃厚に出てくるところが面白く、ただ映画について語るとか、その内容のユニークさという読みどころもあるが、映画監督として生きる普通のおじさんの生活と意見という側面が読みどころである。この本でも篠崎誠との対談の中で、篠崎に対するリアクションとしておじさんの生地が見えてくるところがいい味わいである。

■意味不明にグワッと何者かが起き上がるという”起き上がりコボシ系”の発見が可笑しい。「犬神の悪霊」は、未だに見られないのだが。確かにある種の怪奇映画には、ありえないものがグワッと、あるいはふらふらと立ち上がる瞬間があって、あるときにはワイヤーによる操演だったりするのだが、理屈を超えた感動があるものだ。

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