日本怪談劇場 「怪談耳なし芳一」

■原作、小泉八雲、脚本、西川清之、監督、堀内真直による、おなじみの物語。しかし、主演が中村扇雀(三代目鴈治郎を経て四代目坂田藤十郎)で、芳一が物語る平家物語のシーンは人形浄瑠璃で描かれるという凝った趣向で、人形を使っているのが吉田蓑助、吉田文雀という、のちの人間国宝という、異様に豪華な作品。そういえば、扇雀も三代目鴈治郎の時に人間国宝になってますね。

■その割には、セットとか照明とか、特殊効果も含めて無残に安っぽいのが、このシリーズの特色ではある。雨なんか、キャメラの前だけにじょうろ(多分)で降らしているという超低予算仕様。お話としては、あまり工夫の余地もないが、原色照明を多用してメリハリをつけ、しかも人形浄瑠璃まで使うという演出設計的には、それなりに力が入っている。


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