日本怪談劇場「怪談首斬り浅右衛門」

■原作、脚本、宮川一郎、監督、唐順棋による、なかなかの秀作。宮川一郎の脚本の冴えによるところが大きい。一種の武士道残酷物語で、身分の低いとされた首斬り役人が武家社会で差別され、現実世界では処刑した罪人たちの亡霊に責めさいなまれ、自滅してゆくという救いの無い物語。

■数々の怪談ドラマを書いてきたベテランの宮川一郎なので、とにかく迷いが無く、容赦が無い。大道芸人士分に取り立てられたという家柄の出自の悲劇性と、理不尽に浅右衛門に祟る亡霊たちの、重層的な重荷が、真面目な役人である浅右衛門を奇怪な死に追い詰めてゆく、心理的サスペンス劇である。心霊実話テイスト一辺倒の近年のホラー映画には見られないドラマ性が、こうした怪談映画の身上である。


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