太鼓たたいて笛ふいて ★★★★

こまつ座公演 太鼓たたいて笛ふいて
NHKBS2 演劇はいま
2004年 紀伊国屋サザンシアター
作■井上ひさし 演出■栗山民也 音楽■宇野誠一郎 美術■石井強二 照明■服部基
出演■大竹しのぶ、神野三鈴、梅沢昌代、木場勝己阿南健治、松本きょうじ

■戦時中に”太鼓たたいて笛ふいて”戦争協力した林扶美子が昭和19年頃に前線視察から帰国してから深く反省して、戦後緩慢な自殺を志すように仕事に熱中する。

■非常に素直に文学者の戦争協力を批判した左翼的演劇。今時珍しい明快な立ち位置が痛快だ。「儲かる物語」に踊らされて戦争にまい進していった時代と国民の無知を追及する”真面目な”演劇だが、井上ひさしなので、ユーモアと楽曲で敷居を下げている。正直なところ、楽曲はいるのか?いっそのこと、宝塚歌劇に翻案してはどうかと思うのだが。

■林扶美子の評伝としても面白いが、準主役で島崎こま子が登場するのが異色で、島崎藤村が子まで産ませた姪っ子で「新生」のモデルとなった人物だが、その後の人生は調べてみると奇奇怪怪で、非常に興味をそそる。誰かこの人物の評伝映画を撮ってくれ。島崎藤村じしんも実に無茶な人物で、この人も映画の主役をはれるキャラクターだよ。藤村とこま子の人生を対比させてドラマ化すれば、東映にぴったりの露悪的文芸映画になると思うぞ。

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