ハッピーフライト ★★★

ハッピーフライト
2008 ヴィスタサイズ 103分
TOHOシネマズ二条(SC6)
脚本■矢口史靖
撮影■喜久村徳章 照明■長田達也
美術■瀬下幸治 音楽■ ミッキー吉野
特撮監督■佛田洋 VFXスーパーバイザー■野口光一
監督■矢口史靖

■タイトルから、ウェルメイドのハリウッド製のコメディ小品をイメージするが、開けてびっくり、ヒコーキ好き男の子のための、純粋オタク映画である。

綾瀬はるかも新人CAで登場するが、あくまで主役はパイロット試験に挑む田辺誠一であり、整備士や司令塔などの飛行機に関わる様々な職人たちが群像劇を織り成すのだが、正直なところ群像劇としての完成度は低い。それぞれの職業人のちょっと面白いエピソード集の域を出ておらず、求心力を欠くし、それぞれのエピソードの劇的な作りこみも浅く、都合のよすぎる感じが抜けない。その中で、パイロットの最終訓練は技術的な細部についても念入りに描かれており、クライマックスもそこに作劇が集中する。そんな技術的な解決なんて、興味をおぼえるのは技術好きの男の子くらいだろう、というマニアックな作劇は、逆に矢口史靖らしいというべきか。

■ジャンボ機の飛行シーンは佛田洋がミニチュアを使用し、IMAGICAMILOでモーション・コントロール撮影を行ったものだが、3DCGも併用されているのではないか。翼のフラップが細かく動作する(マニアックな)カットなどはCGだろう。佛田洋の演出で、コメディ映画なのだが、特撮シーン自体はリアリティ志向である。雨の中、強行着陸するカットは、ロケ撮影に風雨を多少足したものだろうか。コックピットの場面はブルーバック合成が多いせいで、人物の肌色の発色が悪いのは、DI技術でなんとかならないものか。

■役者陣では綾瀬はるかよりも吹石一恵が華やかでスター性があり、田畑智子の確かな演技力とチャーミングさが出色だった。江口のりこ平岩紙といった異色女優がよく目立っているのは楽しい。

■製作はフジテレビ、アルタミラピクチャーズ東宝電通、制作はアルタミラピクチャーズ

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