ほんの65年ほど前、日本はこんなに汚なかった!科学映像館『し尿のゆくえ』『スラム』

『し尿のゆくえ』(1960 25分 制作:新理研映画株式会社 撮影:水上正夫 脚本:田部純正 演出:荒井英郎)


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■この時代、肥料としての用途が減って、し尿は河川や海洋に垂れ流しされたいた。その実態がよく記録されていて貴重だし、強烈。そこら辺の川や運河に流したり、里山の雑木林(!)に放出したり、穴を掘って流し込んだり、とにかく臭気が凄そうなことは想像に難くない。

■海洋投棄では、豪快な空撮で、し尿投入の変色した帯が伸びているのが明確に視認できるのはびっくり。関東では黒潮に乗せて放出していたそう。ぎゃー!

■そのせいで、赤痢チフスなどの感染症が多く発生して、問題になっていた、そんな時代。海水浴場には、イチジク浣腸の使用済み容器が漂着するありさまだ。ぎゃー!野蛮!

■当時の日本映画はよく観るけど、そうした普通の生活実態があったことは、まず表現されないし、劇映画だけで時代感を認知していると、やはりバイアスが生じるだろうなあと感じる。劇映画の表現は基本的に洗練されているから、いくらリアル志向といっても、どうしても綺麗に写ってしまうものだからな。

『スラム』(1961 33分 製作:英映画社 撮影:江馬民雄 音楽:一柳慧高橋悠治 脚本&監督:荒井英郎)


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■関西地方の戦後スラム(被差別部落を含むだろう)を記録した貴重な映像。昔の日活映画など観ていても、民芸映画社製作の作品ではスラムが登場するけど、実際のスラムの情景はそんな生易しいものじゃないということがよく分かる。路地の狭さ、溢れる溝水、共同便所の隣の炊事場、日の当たらないゴザを引いた狭い部屋、おそらく江戸時代の裏長屋と同様、あるいはより劣悪かも知れない住環境。

バラックの家並みがとにかく凄い。たまたま当時はまだ地殻変動の安定期で、大きな地震も少なかったから、そんな違法建築が物理的に成り立った。いまなら、地震ですぐに倒壊する。そして、路地端で野◯する子どもに、そのできたての匂いに寄ってくる野良猫。ボカシなし。リアルに香しい、懐かしき昭和の情景だ。ある意味、昔はいろんなところで見られた懐かしい循環型社会。(生まれてないけど…)

■住環境の物理的な劣悪さを丹念に記録するキャメラアイもなかなかのもので、建築記録映画ともいえるけど、音楽が不穏なバリバリの現代音楽なので観ていて気が滅入る(?)けど、加えてそこで暮らす人々の生活を捉えた部分も貴重で、そんなどん底の生活のなかで、おじさん、おばさんや、たくさんの子供達は、それでも元気そうに暮らしている。まあ、いうても、みんな世代が若いのだ。

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