酒井家のしあわせ ★★★☆

酒井家のしあわせ
2006 ヴィスタサイズ 102分
BS2録画
脚本■呉美保
撮影■喜久村徳章 照明■才木勝
美術■禪洲幸久 音楽■山崎まさよし
合成■田中貴志
監督■呉美保

友近とユースケの共演という地味な、というか物好きなカップリングになんとなく興味をおぼえていた一作で、ほとんどロケセット(だと思うぞ)の低予算映画ながら、なぜか不思議なくらい豪華な配役の妙も楽しい、青春映画の佳作。主人公は中二の少年で、少し特殊な成り立ちの家族内のごたごたと、中学での淡い初恋を巡る、シリアスなようで微かに可笑しい顛末が瑞々しく描き出される。

■いっちょ前に大人や家族の間を行ったりきたりするものの、結局なにひとつ分かってはいなかったという徒労感と清々しさが綯い交ぜになって立ち上がってくるラストは近年の日本映画では出色で、色々な意味で予想を軽く上回る鮮烈な映画だ。特に友近の堂々とした演技に圧倒される。

■父親が男の恋人ができたからと言い残して家出するというプロットだが、若手の映像作家やテレビ局主導の映画にありがちな奇を衒った無理な狙いは一切無く、自分の手の届く世界を着実に再構成した安心感と誠実感がある演出ぶりで、非常に感心した。監督第一作でこのレベルに達してしまうとは恐れ入った。

■他にもなぜか豪華な配役で、笑福亭仁鶴山本浩司赤井英和本上まなみ高知東生といったお馴染みの人々がそれぞれ所を得た配役で無理せずに持ち味を発揮している。特に先生役の本上まなみはリアルだし、ホクロから毛の生えた体育教師の高知東生なども実にぴったりなはまり役。

■しかし、なんといっても主人公の少年が嫌がりながらも(このあたりの微妙な距離感がリアル)徐々に心惹かれる少女が谷村美月で、ここでもいい仕事ぶりだ。というか素直に無邪気で可愛いよ。

■製作はビーワイルド、スタイルジャムほか、製作プロダクションはビーワイルド。


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