幻の殺意 ★★☆

幻の殺意
1971 スタンダードサイズ ?分
日本映画専門CH
原作■結城昌治 脚本■岡本育子、沢島忠
撮影■岡崎宏三 照明■榊原庸介
美術■樋口幸男 音楽■佐藤勝
監督■沢島忠

■テレビの2時間サスペンスでやってそうな、ありふれた家庭内サスペンス劇。何故かスタンダードサイズなので、どうしてもその印象が拭えない。主演の小林桂樹はいつものように力演だが、事件の核を握る若尾文子はほとんど精彩が無い。このときまだ大映所属だが、倒産目前で他社出演となったもの。
■しかし、配役は無駄に豪華で、中村伸郎三島雅夫まで登場するし、重要な役で何故か小島慶四郎が登場。明らかにその他の新劇系の配役から浮いているのだが、非常に重要な役なんですよ。しかも三島雅夫と一緒に出てくるから、見ていて頭が混乱する。さらにウルトラマンタロウの南原隊員で有名な木村豊幸が大活躍。とにかく、全体に謎感が横溢して不安定さが拭えない。あ、そうそう片腕のやくざ者を米倉斉加年が演じているのは見所。独特の異形のもの感はここでも健在。この路線が怪作『真夜中の招待状』に繋がってゆく。
■典型的な東宝混乱期の映画で、製作はコマ・プロというプロダクションだが、これは当時の東宝社長松岡辰郎が東宝映画を不満に感じ、小林一三の夢見たような映画を作るために社長自ら設立した会社。社長自らそんなことをすべきではないと藤本真澄から苦言を呈されたそうだが、そりゃそうだよね。そもそも、小林一三に映画製作に関する夢なんてありゃしないだろうと、大方が突っ込むところだよね。そして、本作で損を出して、コマ・プロでの映画製作はあっさり中止になったらしい。その割り切り方も東宝(宝塚系)らしいわ。

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