ほんとに平均的な日本人はこの映画を理解できるのか!?『映画 聲の形』

基本情報

聲の形 ★★☆
2016 ヴィスタサイズ 129分 @NHKBS
原作:大今良時 脚本:吉田玲子 音楽:牛尾憲輔 キャラクターデザイン、総作画監督西屋太志 監督:山田尚子

映画『聲の形』DVD

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  • 発売日: 2017/05/17
  • メディア: DVD

感想

■ホントにこの映画、なかなかの難物で、おそらく原作漫画を読んだ人しか観ていないのではないか。ホントに難しい映画なんですよ。初見の観客には到底理解できない部分が多々あり、後で調べると原作漫画にこういう描写があり、映画では省略されたみたいな話が出てくるわけです。
■そもそも、主人公と一緒に住んでいる女性が母なのか姉なのか判然としない。姉も登場するけど何故か明確に姿を見せないし、母にしては若すぎて、もうもモヤモヤしっぱなし。高校生の母があんだけ若いんだったら、姉は少女なのか?とかいらんところに気が行って、集中できないぞ。普通、映画では登場人物整理するだろう。ああ、モヤモヤする。
■そもそも、聴覚障害がある自分を虐めていた男の子を好きになるという感情が普通には理解できないうえに、成長後の高校生になった時点でも、何を考えているのかが分からない。というか表現されない。しかも唐突に自殺を図ると、アクション映画のように主人公に救われて、身代わりでマンションから主人公が落下するという、思いっきり空想的な超展開が割って入り、どのあたりにリアリティラインがあるのか、判然としない。このあたり、ひたすら唖然とするばかり。
■ちなみに彼女、彼に補聴器を8個破壊されて、約170万円弁償させてますからね。(もちろん、弁償させたのは彼女の母ですが!)普通に考えて納得できる人間関係ではない。成瀬の『乱れ雲』ならちゃんと誰でも納得できるように、加害者と被害者の恋愛が描かれるのにですよ!
■これ吉田玲子が脚本化しているのだが、いつものような構成上の大鉈が振るえていない。原作重視でその余地がなかったためだろうか、あるいは長大な脚本を無理やり圧縮したのかもしれないといい方に邪推する。
■ナイーブないじめや聴覚障害の問題が扱われているし、アニメ技術の凄さは誰の眼にも明らかなので、そうした志とテクニカルな高みに感動するところは分かるけど、何も知らない観客が理解できるようには作らないとだね。。。
■この映画が普通に読解できるとすれば、日本の映画ファンの映画リテラシーは世界一高いと判断せざるをえないが、ホントにそんなことありうるのか??

参考

こちらはテレビ版観てなくてもオーソドックスに理解できるしウェルメイドなアニメ映画なのに。
maricozy.hatenablog.jp

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