デジモンアドベンチャー ぼくらのウォーゲーム!
2000 ヴィスタサイズ 40分
@DVD
原作■本郷あきよし 脚本■吉田玲子 作画監督&キャラクターデザイン■山下高明、中山久司 美術監督■田村せいき、芳野満雄 音楽■有澤孝紀 監督■細田守
■久しぶりに再見したが、改めて傑作。インターネット世界でのアクションのセンスの良さは、「サマーウォーズ」を凌ぐと思うよ。アクション映画としてのカタルシスもこちらの方が上。以下に、旧鞠小路グリーン劇場の記事をサルベージしておくよ。
感想(旧HPより転載)
ある日インターネットの世界に発生した邪悪な新種デジモンの悪戯のために世界が核戦争の危機に瀕していることを知った主人公達は、コンピュータを見つけるのさえ困難な島根県へ帰省中の友だちとネットで連携をとりながら、デジモン達の助けを借りて新種デジモンに立ち向かう。タイムリミットはママのケーキが焼き上がるその瞬間だ!
実はテレビ版のデジモンは観たことがないので、語る資格もないのかもしれないが、正統派怪獣映画のディテールを紡いだ劇場版1作目についでこの作品でも細田守の確かな演出力に圧倒される。
映画の進行時間と物語の進行時間がほぼ一致しているという子供にとってはとうてい理解不能な凝った構成が素晴らしく、主人公のママのケーキが焼き上がるまでの間に、しかもマンションの中から一歩も足を踏み出すことなく、彼らは世界をインターネットの悪魔から救済するのだ。その大胆不敵な構成に拍手喝采。
さらに第一作では上映時間の都合上お座なりだったクライマックスの勝負の決着を今回はきちんと”頓知”で解決していることには、さらに大きな拍手を送りたい。その奇想天外なアイディアにはSF的なリアリティよりも日常的にパソコンを使っている人間の生活実感がにじみ出て、少なくとも心理的には十分な説得力を獲得しているから偉い。
ネット世界の造形に2Dや3DのCGを使用して白を基調とした抽象的な、しかし立体的な空間を現出させた手腕も並の演出ではなく、細田守の才能の豊かさと幅の広さを印象づける。
さらに素晴らしいのが有澤孝紀の音楽で、特にネット世界でのヴァーチャルな戦闘を彩る楽曲の荘厳さは近年のアニメ映画の中でも飛び抜けていることを明記しておきたい。
しかし、最後の合体デジモンの攻撃はちょっと「トップをねらえ!」みたいでしたね。