黄金を抱いて翔べ ★★★☆

黄金を抱いて翔べ
2012 スコープサイズ 129分
MOVIX京都(SC6)
原作■高村薫 脚本■吉田康弘井筒和幸
撮影■木村信也 照明■尾下栄治
美術■? 音楽■平沢敦士
VFXスーパーバイザー■オダイッセイ
監督■井筒和幸

■関西風の濃い風土と独特のバタ臭さを身上とする高村薫ワールドを井筒和幸が大阪活劇に仕上げた快作。昔なら、藤本義一くらいが脚本書いたかもしれない感じだな。浅野忠信の役どころは田宮二郎でピッタリだ。東映だと高田宏治が書くだろう。

■お話自体には説明不足の箇所がどうしても生じるので、どんな人物なのか判然としない登場人物もいる。チャンミンとか西田敏行とかね。特に西田敏行の経歴は納得できる観客はいるだろうか。普通、そんなケッタイな経歴の人物を設定すると怒られるだろう。そこは原作もの故、高村薫がそう書いているといえば、スポンサーも黙ることになる。

■しかし、これ非常に男臭い活劇になっていて、男同士の関係性が演技を含めて非常に面白い。シリアスな黄金強奪作戦をしているのに、通りすがりの大阪のおばちゃんが突っ込みと入れたりする按配は、さすがに大阪監督ならではの呼吸。これで主演陣が大阪弁を駆使してくれれば、もっと大阪っぽさが増したのに。でも、これでも立派な浪速映画。

■とにかく主演陣の演技が秀逸。主演の浅野忠信が角刈りで男らしさをむんむんと放出する。海外での映画出演がちゃんと存在感のスケールを大きくしているから立派なもの。堂々たる主役ぶりで、若い頃の高倉健を思わせるほどだ。独特の雰囲気演技でユニークさを主張してきた人だが、このところひとまわりスケール感が増している。今後の活躍が楽しみだ。

■一方、妻夫木聡もひげ面で男臭さをアピールするが、これも絶妙な男っぷりで、惚れる。特に前半は台詞もアメリカ映画みたいでカッコいいので、ほんとに痺れる。この人はもっとワイルドに弾けるべきだなあ。ただ、最後の見せ場で泣かせるのはいかんと思うよ。妻夫木君を泣かせないと客を呼べないみたいな不文律があるのだろうか。もっと虚無的に受け止めさせるべきだ。終盤は負傷してモルヒネで激痛を抑えながらのアクションなので、ちょっと可愛そうだったけど、妻夫木君はワイルド路線でいくべきだよ。

西田敏行の役は、正直他のキャストでもよかったのではないかと感じるが、とにかくこの映画は男騒ぎの映画なので、主役陣の演技がいいと気持ちが入る。ただ、妻夫木君とチャンミンが同性愛的な雰囲気を漂わせるのはどうも中途半端で、やるならもっと掘り下げればいいのに。原作ではやっているはずだが。さらに浅野忠信妻夫木聡の関係の同性愛的な紐帯との関係性に揺さぶりをかければさらにスリリングなのに。

■製作はエイベックス・エンタテインメントnktエンターテイメント、ハピネット、制作はnktエンターテイメント。


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