リンチ・内ゲバ・拷問、何でもござれ!女の園の裏はドブ!ザ・ガードマン『女の戦争』

■ザ・ガードマンの1967年放映の第126話ですよ。昭和42年のテレビドラマって、同じTBSで『キャプテンウルトラ』を放送中ですが、同じTBSの人気番組がこんなにエグイお話と描写を繰り出していたとは。原案は野森華樹、脚本は藤森明、監督は凶悪に攻めた(悪ノリ?)作風で一世を風靡した(?)宮下泰彦センセイ。撮影:佐藤正、照明:永沢和男、美術:上条文雄。

中野ブロードウェイのアイセル美容室で、お得意客:三崎千恵子がシャンプーで河童のように禿げるという珍事件が発生。共同経営者の中原早苗としめぎ・しがこは2つのグループに分かれて反目していたから互いに犯人が相手のグループにいるに違いないと邪推する。早苗グループの助手:真山知子はしがこグループの一員を熱湯で締め上げて真犯人を吐かせようとするが誤って殺害。逆にしがこグループの助手:夏圭子は早苗グループの若い娘を電気ショックで拷問するがショック死する。だが、その犯行を目撃した従業員の娘:嘉手納清美がいて。。。

■というお話ですが、三崎千恵子の河童のような禿げ頭で有名なエピソードですね。発端の事件こそコメディなのに、中原早苗としめぎ・しがこが互いに糾弾を始めるとその罵りあいからして相当強烈なのに、2つのグループの間で犯人捜しのために拷問合戦に発展するという陰惨で凶悪な展開に、観ていて気が滅入るほど。怪談ドラマではないが、怪談以上に怖いし生理的に不愉快なお話。ほとんど後の過激派学生の内ゲバによる殺し合いを連想させる。この時期にはまだそこまで事態が悪化していないのだが、既にセクト主義の行きつく先を予見していたのだろうか。宮下泰彦にそんな問題意識はありはしないと思うけど!

■ただ、その先に何者かの企みがあり真犯人が登場する展開なので、最終的には後味が、、、いや決して良くはないか。

■いっぽう、ガードマンの面々は「女はバカな生き物だからしようがないな」と、いつものように笑い話にして終わる。唯一フェミニストを自称する神山繁は、「それでも女は...それでも女は可愛いもんだ」と主張する。この当時の社会の女性差別的な視点の高さがどのあたりにあったかがよく分かる好テキストといえるかもしれない。でもこのドラマは女性プロデューサーが作っているんで、どういうつもりだったのか聞いてみたいものだな。単純にサラリーマンのおじさんの本音に寄り添ったドラマを作りたかったのかもしれない。いやそうなんだろうけど。

レギュラーゲストの中原早苗の常軌を逸した暴走特急ぶりにはひたすら戦慄しかないわけだけど、当時の中原早苗人気の源は何だろう。怖いもの見たさ?怪談ドラマの亡霊と同じ扱いか?
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