お馴染み!暴走する迷惑おばさん、中原早苗の狂気に戦慄!ザ・ガードマン『おしゃべりは死を招く』

■1967年、まだモノクロの頃のザ・ガードマン第117話。脚本は増村保造、監督は宮下泰彦。撮影は上原明、美術は井上章。

ザ・ガードマン1967年度 DVD-BOX 前編

ザ・ガードマン1967年度 DVD-BOX 前編

中原早苗の暴走(あるいは迷惑)おばさん路線がいつごろから日本に定着したのかは興味ある研究テーマだが、ここではそこまで深堀はできません。が、本作を観ると、昭和42年には早くもその芸域を完成させていたことがわかる。凄まじい近所迷惑な狂気である。
■”団地奥さん”ならぬ社宅マンションの奥さん早苗は、常に言動が常軌を逸しているため、社宅内では蛇蝎のごとく嫌われていたが、ついには気に入らない隣の部屋の若妻の様子を盗聴し、浮気の末殺人事件が起こっていると妄想し始める...という後年の団地妄想路線の先駆的な作品で、脚本は増村保造が自ら書いているから、ちゃんとサスペンスになっていて、捻りもきいている良作。山浦弘靖が量産する団地妄想路線の原型といえるだろう。
■とにかく近所迷惑としか言えない中原早苗の狂いっぷりが凄まじく、旦那の北村和夫も当然手を焼いているが、隣のダンナが行方不明になると、探偵趣味が高じて益々殺人幻想に囚われてゆく。しかし、それは本当に幻想なのか?増村脚本の常として台詞が直截で、中原早苗の言動は明らかに境界性人格障害に属するものだが、その無茶苦茶なおばさんが現実の殺人事件を正しく嗅ぎつけるという皮肉さが本作の面白さのカギで、そこを外さないのはさすがの増村脚本。
中原早苗の狂いっぷりも、よく考えるといつもの増村ヒロインの狂いっぷりに通じるものがある。若尾文子が演じると愛に対してエキセントリックな女ということになるが、中原早苗が演じると単に近所迷惑なおばさんとなる。まあ、言動の内容とベクトルが違うのだが、その直截な行動様式は通底しているよなあ。
■行方不明になるレギュラーゲストの川辺久造って実に味がある。知的で陰気で神経質で悪賢い感じ。調べると文学座の人なのね。ああ、納得だわ。
ザ・ガードマン1967年度 DVD-BOX 後編

ザ・ガードマン1967年度 DVD-BOX 後編