世にも奇妙な物語「屋上風景」「坂道の女」「だれかに似た人」

■これは珍しい。世にも奇妙な物語の最初期に阿刀田高原作の三本立てがあったのだ。1990年のことでした。微かに覚えている気もするが、ほぼ忘れていた。大映テレビの制作なので、監督は全部土井茂です。

■屋上風景 脚本:小中千昭、監督:土井茂
鶴見慎吾が主演で、会社訪問した会社のビルの屋上に現れる謎の男が津村鷹志川崎敬三というのが凄い。原作のテイストに忠実な良作。川崎敬三の存在感が何といっても抜群。当時ですら、川崎敬三がドラマに出てるよ、何年ぶりだろうと驚いた記憶がある。

■坂道の女 脚本:大原豊、監督:土井茂
原作小説は阿刀田の数ある怪談風短編のなかでも指折りの傑作だと思うので評価が厳しくなりますが、ドラマで初めて見た視聴者はかなり怖かったらしい。完全に幽霊が出る怪談ドラマ。主演が京本政樹と岡本冨士太というのも不思議な顔合わせ。京本の主演(編集者役)はどうかと思うが、岡本富士太ってなぜか神経質で陰鬱な味があって悪くない。語り口で怖がらせ、しかも余韻嫋嫋という難易度の高い原作小説ですが、少なくとも失敗作ではない。ただ、それで終わり?という尻切れトンボ感が残ってしまうのが弱点。原作小説はそんなことないからね。

■だれかに似た人 脚本:塩田千種、監督:土井茂
いかにも典型的な、奇妙な味の短編にありそうな落とし噺ですが、小気味いい引き締まった展開で楽しい良作。無駄なエピソードが混じらないところがいい。そもそも原作は短編ですらなく、ショートショートなので、実質15分程度の短編ドラマにはうってつけですね。さすがにラストにはオリジナルな展開が付加されていますよ。しかも主演の斉藤慶子が無駄に(?)キレイ。目鼻立ちのシャープさと造形美。こんなに綺麗な人だったかなあ。

参考

「屋上風景」は以下の短編集に収録されていました。

「坂道の女」は『マッチ箱の人生』に収録されてました。さすがに今入手できるのは電子書籍版ですね。後に傑作集に採録されたようです。当然の傑作怪談。「だれかに似た人」はこれに入ってました。『食べられた男』懐かしいな。これも電子書籍で入手可。

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