A TALE OF TWO SISTERS
2003 ヴィスタサイズ 115分
DVD
■監督のキム・ジウンの演出の技量はたいしたもので、『人形霊』などと見比べると全く格が違うことは一目瞭然なのだが、謎解きが非常に歪なのであっけにとられたまま終わってしまうという変な映画。一応、サイコホラーに属するのだろうが、妄想とか多重人格とかいったギミックをこんな風に扱うと独特のドラマツルギーが必要になるという例で、個人的にはこういうやりかたは「作劇の外道」だと思う。こんな謎解きならなんでもありになってしまうからだ。
■しかし、キム・ジウンの恐怖演出は上出来で、明らかに黒沢清の真似をしているのだが、ほんとに上手いから舌を巻く。特に継母の弟夫妻のエピソードのあたりは最高で、『悪魔の棲む家』や都市伝説的な恐怖小話などをベースに存分に怖がらせる。撮影のイ・モゲの腕も抜群だし、イ・ビョンウの音楽も非常に流麗で、とにかく映画としてのルックはきわめて上質。後半の脚本をもう少しまともにしてくれれば、傑作になったかもしれないのに。父親役のキム・ガプスってどこかで見た顔だなあとおもっていたら、阪本順治の『KT』に出てた人だった。